フランス、スペイン両政府はエアバス社との間でA350型機開発用の補助金の条件を変更することで合意した。EU側の目論見では、これで米国は欧州からの輸入品目に関税を課す根拠を無くすため、EUと米国との対立を迅速に解決できる基底になるはずだ。フィル・ホーガン欧州委員(通商担当)は「欧州の製品に対する不当な関税は容認できない。我々は米国が不当な関税を直ちに撤廃するよう主張する」と発表している。
WTOにおけるエアバスと米航空宇宙開発大手ボーイングの対立は、2004年に米政権が英国、フランス、ドイツ、スペインがエアバスに不正な補助金や助成金を拠出していると非難したことから始まった。そして2019年、WTOは米国が欧州の製品に最大100%の関税を課すことを認めた。
EUの出した声明には、新型コロナウイルスのパンデミックと世界的な景気後退の今、産業と農業分野で「過剰な負担となっている」関税の撤廃の必要性が唱えられている。もし撤廃されなければ、欧州は「制裁権を全面的に行使する」構えだ。
米国は2017年以降、中国と貿易戦争を続けている。米国が中国からの一連の輸入品目に関税を導入すると、中国政府も同様の措置を発動した。しかし、2020年1月、米中両国は貿易協定の「第1段階」の合意を締結。中国政府はより多くの米国製品の購入を約束した。その後、トランプ米大統領は、中国が新型コロナウイルスの感染状況に関する情報を明らかにしていないと非難し、中国との「第2段階の通商合意」の締結を拒否した。