紛争が続くイエメンの調停に向けてサウジアラビアが2019年11月5日に提示した協定案には暫定評議会のイエメン南部における自治権の廃止に加え、分離派が支配するアデン県に知事と安全保障担当者を任命することが盛り込まれており、紛争当事者らはついにこの調停案に合意した。
また、この調停案に従い、新政府の設立を30日以内に進めるうえでの全権がイエメン中央政府の首相に付与される。
さらに、紛争当事者らはアデン県と隣接する南部のアビヤン県から部隊を撤退させ、元の配備先へと帰還させることでも合意した。
サウジアラビア外務省によると、紛争当事者らはこの協定案を受け入れ、停戦調停に向けて行動することを保証したという。
南部暫定評議会も同じく声明を発表し、サウジアラビアの協定案を支持することを表明した。声明の中で南部暫定評議会のニザル・ヘイサム議長は南部の自治権を放棄して中央政府と協力し、国内の北部を支配する反政府武装勢力「フーシ」(イスラム教シーア派)に対峙する姿勢を示した。
イエメンでは2014年に内戦が勃発し、これまでに10万人以上が死亡している。2015年3月にはサウジアラビアが参戦し、泥沼化した。イエメン内戦は暫定政権を助けるサウジアラビアと、イスラム教シーア派の武装勢力フーシを後押しするイランの間の「代理戦争」と呼ばれている。
2017年にはハーディー暫定大統領の中央政府から離反した勢力が南部暫定評議会を設立。2019年8月にはこの勢力が南部のアデン県に加え、隣接する南部の件を制圧し、ハーディー政権の軍を撤退させた。そこでサウジアラビア主導のもと、紛争当事者らは首都リヤドで協議を行い、停戦体制と新政府設立に関する協定を結ぶんだものの、これまで合意内容は実行に移されなかった。
その後、南部暫定評議会がさらに勢力を拡大させたことから、中央政府はサウジアラビアに支援を要請していた。
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