14日の採決ではロシアと中国が反対したほか、英仏独など11カ国が棄権した。米国とドミニカ共和国が賛成した決議案では10月18日に期限を迎えるイランへの武器禁輸措置を無期限で延長することが定められていた。
否決を受け、ポンペオ米国務長官は声明を発表し、安保理が「イランに対して13年にわたって続く武器禁輸措置の延長に関する合理的決議案を退け、世界でも随一のテロ支援国家に武器の売買を許す道を切り開いてしまった」と記した。
続けてポンペオ国務長官は引き続き「テオクラート(神権政治)の体制が武器を自由に売買し、欧州の心臓部や近東、ひいては世界全体に脅威をもたらす」ことがないよう、米国としての取り組みを続けるとした。
The @UN Security Council failed today to hold Iran accountable. It enabled the world’s top state sponsor of terrorism to buy and sell deadly weapons and ignored the demands of countries in the Middle East. America will continue to work to correct this mistake.
— Secretary Pompeo (@SecPompeo) August 14, 2020
イランの核問題に関する包括的共同作業計画(JCPOA)によれば、イランへの武器禁輸措置は一時的性格のものとされており、10月18日に期限を迎える。否決された米国の決議案では禁輸措置を無期限で延長することが盛り込まれていた。また、イランへの武器禁輸措置に違反した個人に対する入国禁止措置の条項も無期限で延長するとされていた。
先にロシアのセルゲイ・ラブロフ外相はイランへの武器禁輸措置を延長する客観的根拠はないと強調していた。武器禁輸措置は2015年のイラン核合意に向けて一時的な措置として用意されたもので、現在はもはや現実味を失っているという。10月18日以降も武器禁輸措置を延長するという案については「一度も検討された例がなく、この理解を再検討するような法的、またはその他の根拠はない」としていた。
現在、イラン核合意の英仏独以外の参加国とトランプ政権との間で緊張が高まっている。トランプ政権は核合意からの離脱を発表、イランの主な収入源であるイラン産原油の輸出に対する制裁を復活させた。
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