加えて、こうした野望的な計画は韓国市民の懸念をも呼び起こしている。現在日本では、自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦をF–35Bの搭載可能な空母に改修する計画があり、日本に遅れをとるまいとする韓国の姿勢は十分に理解できるものである。しかし韓国は、中国からの反発を受ける可能性があることを忘れてはならない。空母に搭載されたものが、現段階ではまだ問題が残る援護がしかるべき形で保証されて初めて意味を持つことは言うまでもない。
「これは、当然ながら、地域の勢力図を変えるものだと考えられるでしょう。これまでは、韓国および朝鮮半島の防衛に空母は必要ないというのが韓国の基本的姿勢でした。しかし今、韓国は軽空母を配備すると言明しています。さらに2021年から2025年までの防衛施設建設計画には、潜水艦原子力が含められる可能性が高くなっています。少なくとも、政府はこれを積極的に推し進めています。ですから、これは総じて、従来行ってきた周辺地域の防衛をさらに拡大させ、その範囲を北東アジア全域に広げたいという韓国政府の意向だと言えます」。
しかしながら、教授はこのような野望が韓国と周辺諸国との関係に深刻な影響を与えることはないと見ている。韓国が軽空母を建造したとしても、中国や日本の競争相手になることはできないからである。しかも、今回の韓国の決定の動機となっているのは、アメリカという軍事同盟国からの強大な依存性を弱めることである。これについて教授はさらに、
一方、もう一つの疑問は、本当に韓国に空母が必要なのかということである。自国軍に最新の兵器を配備するというのは素晴らしいことである。しかし韓国軍の臨戦態勢の強化という見地からみれば、統制組織の再編に取り組んだ方がより効果的だとパク教授は指摘する。しかも限られた予算の中では、より緊急性の高い問題について考え、それに投資すべきである。さもなければ、高額な兵器の購入もただの無駄遣いになってしまう可能性がある。
慶尚大学校のパク・チョンチョル教授は、「韓国には偵察を行うための十分な費用がありません。ですから、今のような状況で空母の建造を優先することは論理的ではないのです。韓国が独自の空母を建造したところで、結局はアメリカの偵察システムに頼らなければならず、そうなれば、これが韓国の空母であるとは言い難く、本質的にはアメリカの空母になるのです」と述べている。
パク教授は言う。「これらすべてが、戦時作戦統制権の移管と関係していることを考えれば、韓国は空母を必要としているのではなく、この空母でこれを清算しているように思えます。韓国国防部の計画は、統制権の移管と引き換えにアメリカの兵器を購入させたいというアメリカの立場を反映したものではないでしょうか。米韓の防衛費の分担、あるいは北朝鮮の非核化をめぐる協議においても、同じような意図が見られます。ですから、軽空母建造計画についての発表は軍事戦略というよりも、韓国政府が朝鮮半島の平和をなんとしても維持したいという意向の表れです。アメリカ選挙を前に、涙を堪えて、自国の予算をアメリカ製の兵器購入という無駄な買い物に拠出しなければならないのです」。
その上でパク教授は韓国が早々に空母建造に着手するかは疑問だとしている。アメリカでの選挙が終われば、今度は韓国で選挙キャンペーンが始まり、話題も変わる。市民は然るべき行動を求め、莫大な費用がかかる空母の建造を中止するよう要求するだろう。つまり、韓国初の空母の運命は次期大統領の手に委ねられることになるのである。
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