8月13日、台湾の蔡英文総統は政府に対し、来年の防衛費を4,534億元(およそ1兆6,300億円)にまで引き上げるよう提案した。今年の国防部予算は4,130億元だった。行政院主計総処が明らかにした。
8月12日、駐米台北経済文化代表処の蕭美琴代表(駐米大使に相当)はワシントンにある米政策研究機関、ハドソン研究所で演説を行い、台湾は防衛分野における可能性を拡大する必要があると述べた。また蕭美琴代表は、台湾の優先課題は、台湾および現在、南シナ海にある台湾の統制下の島々の防衛を強化することだと指摘した。現在台湾はこれを目的に、米国との間で、巡航ミサイルを含む一連の兵器の調達について交渉を行なっている。新たに獲得した兵器は台湾のミサイルシステムHsiung Feng(雄風)とともに配備され、沿岸の防衛を強化することになる。加えて、台湾と米国の間では、降下部隊の上陸や急襲を阻止するための機雷の購入に関しても協議が進められている。
ロシア科学アカデミー極東研究所のアレクセイ・マスロフ所長は、スプートニクの取材に対し、中国からの軍事的脅威は、防衛費増大のための口実に過ぎないと指摘する。
「厳密には、台湾には軍事費を増額させる客観的な理由は何一つありません。中国はこのところ、台湾に対する圧力を強めたりはしていません。これはおそらく米国の政策に従い、米国からの要望に応えたものでしょう。昨今の米国と台湾の軍事協力の拡大合意を考えれば、この予算の一部が米国からの兵器供給に充てられることは明らかです。このことは中国側からの激しい反発を招き、また地域の緊張を高めることになるでしょう。現在すでに南シナ海周辺地域の情勢は目に見えて悪化しています。台湾海峡でも情勢が悪化すれば、台中関係はさらに激化し、地域にまたひとつ、かなり深刻な危険地帯を生み出すことになります。これこそ、今の米国の狙いであり、中国周辺で、広い範囲にわたって、さまざまな紛争地帯を作ろうとするさらなる試みです」。
ロイター通信の複数の消息筋からの情報によれば、現在、米国は台湾との間で高性能偵察ドローン4機の販売交渉などを行っている。このドローンは航続距離6,000海里(11,000キロ)で、台湾が現在保有する160海里を大きく上回っている。このドローンを配備することにより、台湾は中国大陸を偵察し、空軍、そしてミサイルやその他の戦略兵器の動きを監視することが大いに可能となる。
8月10日に米国のアレックス・アザー厚生長官が台湾に訪問したが、これは41年前に米国が台湾と断交して以来となる米国政府高官による台湾訪問で、このアザー長官の訪問の最終日の翌日に、台湾は防衛費増額に関する声明を表した。台湾が、米国側からの外交的援護の増強と中国との関係を緊張化させるための軍備とを結びつけようとしていることは明らかである。海の向こうの庇護者の意思は、台湾海峡を挟む2つの国に住む中国人の根本的な利害よりも優先されているのである。
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