しかし、マトリョーシカの発起人で、オーガナイザーのフィリップ・グリシュケヴィッチさんは「もっと違うフォーマットで出会える場所を作りたかった」と話す。フィリップさんは普段、ロボット工学エンジニアとして働いており、日本の電子産業やロボット工学、日本文化に魅力を感じて日本語の学習を始めた。
フィリップさん「ラマーシュカはちょっとオフィシャルすぎますし、学生の集まりには、社会人は入り辛いと感じていました。僕がイメージしたのは、若手の社会人が仕事帰りに友達と会うような感覚で、日頃プライベートで行くような場所で、ロシア人と日本人が集う、ということです。そこでは友達だけでなく、恋人を見つけるかもしれないし、就職先や、新ビジネスのアイデアや、パートナーを見つけるかもしれない。そんな色々な種類の出会いがあるような場があればいいと思いました。」
マトリョーシカ発足当初は、場所を決めずに、色々なカフェやレストランで集まっていた。現在は昨年9月にオープンした、個室でのカラオケが楽しめるビストロ居酒屋「IZUMI」がマトリョーシカの固定会場となっている。と言っても日本のカラオケのように常に誰かが歌っているわけではなく、カラオケが苦手で、ただおしゃべりしに来たという人もたくさんいる。日本酒やカクテル、日本食を楽しむ人もいて、それぞれが自由に時間を過ごしつつ、自然な形で交流が行われている。
マトリョーシカには毎回、平均して20人ほどの人々が集まる。事前予約は必要なく、いつでも誰でも参加できる。メンバーはロシア人と日本人だけかと思いきや、これまで色々な国のゲストが参加してきた。
「僕はただ、交流の場を毎週提供しているだけ」と話すフィリップさん。100回を超えても、モスクワでのマトリョーシカは続いていく。近い将来にはマトリョーシカを東京でも開きたいと考えており、すでに計画を進めている。
フィリップさん「ロシア人と日本人が互いを愛し尊敬できるように、と思ってやっています。特に最初の方は、友人の廣瀬功さん、鈴木岳尚さん、イワン・ゴロソフさんに、ロシア人も日本人も楽しめるようにするにはどうしたらいいか、たくさんの貴重な助言をもらいました。自分はほとんど何もしていなくて、友人や、マトリョーシカに来てくれる皆さんのおかげで、100回まで来ることができました。本当にありがとう!」