またルイス・グヴィド・カロリ大学(ローマ)およびウルビノ大学のイゴール・ペリチャリ教授は「Formiche」のインタビューで「ナワリヌィ氏は当局を苛立たせているが、直接的な危害は加えていない。殺害という事態になれば同氏を我慢するよりも遥かに大きい問題が生じていただろう」と語った。
野党党首のナワリヌイ氏は8月20日にトムスク(西シベリア)からモスクワに向かう途中の飛行機内で体調が悪化。飛行機はオムスク市に緊急着陸し、同氏は病院に搬送された。その後直ちに人工的昏睡状態に置かれ、現在もその状態が続いている。体調悪化当初の44時間はオムスク市の病院で処置が施され、その2日後にドイツ「シャリテ」病院に移送された。独の医師らはナワリヌィ氏の体調悪化の原因はアセチルコリンエステラーゼ阻害剤によるものと断定。一方、オムスクの医師らは中毒について言及していない。ナワリヌイ氏陣営は、同氏の社会的活動を理由にロシア当局が殺害を試みたと非難している。
教授は、オムスク市の病院は十分に機材が整っていたとは言えないが、現地医師は適切な検査と分析を行い、そのおかげでドイツの医師は時間をロスすることなく、ナワリヌイ氏の治療を即座に開始できたとしている。
マリノフスキ会長も同様の意見だ。「オムスクの医師は44時間、ナワリヌイ氏の命を救うために奮闘した。オムスクの医療関係者のおかげで同氏は一命をとりとめた」とフェイスブックに綴っている。
ペリチャリ教授はまた、オムスクの医師がナワリヌイ氏の状態を安定できたのは、アトロピン投与を行ったからだと語る。「ドイツの医師もその効果を認め、継続してアトロピンを使用するだろう」としている。
これより前、ペスコフ・ロシア連邦大統領報道官は、ナワリヌイ氏の中毒にクレムリンが関与しているとの非難を「空虚な騒ぎ」とコメントしている。「これら非難に真剣に対応することはできない。これら非難は全く真実でありようがなく、空虚な騒ぎにすぎない。真剣に捉えるつもりはない」と語った。