ドイツ通信社によると、1日、シュトラールズントを訪問したメルケル首相は、「我々は、米国による制裁は米国領外におよぶ治外法権であり、違法なものだと見なしている」と述べると同時に、このパイプラインは完成されるべきだとの見方を示した。
8月初旬、米国共和党の上院議員であるテッド・クルーズ、トム・コットン、ロン・ジョンソンの3氏は、ムクラン港の港湾運営会社である独企業Fahrhafen Sassnitz GmbHに対し、「ノルドストリーム2」プロジェクトに関する制裁の対象となる可能性があると警告した。
メルケル首相はこれまでにも、「ノルドストリーム2」プロジェクトは実現されなければならないとの考えを繰り返し述べているが、ロシアの反体制派指導者のアレクセイ・ナワリヌイ氏が、毒物を使われたことにより体調に異変をきたしたとされる事件の後、この事件とパイプラインの建設を結びつけるのは正しいことではないとの見解を示している。
制裁強化に関する法案
6月初旬、米国上院では、「ノルドストリーム2」に対する制裁の強化に関する法案が提出された。新たな法案には、パイプラインの敷設事業に直接参加する企業だけでなく、保険や法的支援、港湾サービスに携わる企業をも制裁の対象とすることが盛り込まれている。
米国の制裁により建設作業は中断
「ノルドストリーム2」の建設作業は、2019年12月に米国が欧州の関連企業への制裁を発動したことから、現段階では中断している。この制裁では、関連企業の代表者らの米国への入国を禁じ、米国内のあらゆる資産の凍結することが規定されている。
「ノルドストリーム2」は、すでに敷設された「ノルドストリーム」と並行して、バルト海底を通過する形で建設されるもので、新たなパイプラインが通過する領海を持つフィンランド、スウェーデン、ドイツ、デンマークの各国は、パイプラインの敷設を許可している。しかし、米国と一連の欧州諸国はパイプラインは、ロシア産天然ガスに対する欧州の依存を高めるものだとして、この建設事業に反対している。