米サウスカリフォルニア大学医用生体工学部は、ガン腫瘍を目立たせる造影剤としてタトゥー用のインク、食紅を用いる方法を編み出した。
研究を率いるクリスチーナ・ザヴァレッタ氏は、絵画スタジオに通っていた時にタトゥー用のインクを使う方法を思いついたと語っている。ザヴァレッタ氏は、タトゥー用のインクには独自の光スペクトルがあり、それは「指紋」のように他に類似を持たないことを知って、発想を得た。こうした特性は食紅にもある。
こうした光スペクトル的な「指紋」を有すインクを用いれば、ガン細胞をマーキングするナノ粒子に印をつけることができる。インクを基に作られた造影剤は血液を旅して、ガン細胞にまっすぐ到達すると相手に「食らいつく」ため、核磁気共鳴画像法(MRI)やコンピュータ断層撮影(CT)の映像では、ガン細胞が「ライトアップ」されて手術や治療に極めて重要な腫瘍の正確な範囲も微小なディテールも逃さず映し出される。
この造影剤はすでに米国食品医薬品局(FDA)の認可を得ている。開発者らは、造影剤が医療現場にスピーディーに導入されるよう期待を寄せている。