デイリーテレグラフ紙が引用した同文書によれば、英国政府がEU離脱に関する取引に見越されている義務に違反した場合、EUは同国に罰則制裁を科すために、合意の想定する論争の解決メカニズムを適用する構え。
デイリーテレグラフ紙によれば、この措置が効果を上げなかった場合、EUは英国とのあらゆる貿易合意を破棄し、英国の製品およびサービスに対する関税を導入する。英国とEUの関係が急激に悪化したのは、9日に英国政府が提出した法案が原因。法案は2020年12月31日の英国のEU離脱後、移行期が終了した時点から英国の構成体間の取引関係の調整を呼び掛ける内容となっている。法案には、その項目のうちいくつかが「国際法ないし国内の法律に合致しない、またはそれと共存できない場合も効力を持つ」と記されている。これは離脱に関する取引の基本条項の1つである、北アイルランドの地位を指している。英国は、北アイルランドを英国の関税ゾーンの一角とし、同時にこれにEUの共通市場および関税ゾーンへのアクセスを温存させるという「バックストップ」を望んでいる。
英国指導部が論争を呼ぶ法案を採択し、EU離脱で二重の合意を取り付けようと画策していることはEU内のみならず、それを超えて激しい反応を引き起こした。
裁判
10日付けのフィナンシャルタイムズ紙もEUの内部文書を引用する形で、英国の論議を呼ぶ法案を受けてEUは英国を訴える発案の可能性を検討していると報じた。
記事の執筆者は、英国のこうしたやり方は昨2019年、EUとジョンソン首相との取引の中で合意した北アイルランドについてのプロトコルの基本条項に「真っ向から違反」するとの見方を示している。また、これに対してEU側が取りうる策のひとつとしては欧州裁判所へ提訴か、または代替案として論争の調整プロセスを開始し、これが「最終的には金融制裁の発動にもつれ込む恐れもある」と書いている。