小惑星の誕生日
今から18年前の2002年9月25日、イルクーツク州のタイガ地帯を流れるヴィティム川の流域に小惑星が落下した。ロシアではこれは「ヴィティムの小惑星」(日本では「シベリアの火球」)と呼ばれている。ロシアのタイガ地帯に落下した天体としては、これはサイズも衝撃による破壊力もツングースカの大爆発に続く大きさだ。ママ居住区から60 キロ離れた落下地点の森林では面積100平方キロメートルほどに渡って樹木が倒壊、焼失しており、隕石の破片が散らばっていた。
2013年2月13にち、ロシアの領土にそれよりもさらに巨大な小惑星が落下した。チェリャービンスク州の隕石落下だ。NASAの試算では、地球に落下した隕石としてはチェリャービンスクの隕石はツングースカ大爆発に続く巨大なサイズであったとされている。チェリャービンスクの上空23キロの地点で爆発した小惑星は、瞬間的に地球の周囲を2度回るほどの激しい衝撃波を起こした。小惑星は爆発までの段階で重さ1万トン、直径は17メートルだったが、爆発後は粉々の破片に散らばり、その中でも最大の欠けらの重さは0.5トンだった。この爆発では1615人の怪我人が出た。その大多数が衝撃によって割れた窓ガラスによる怪我で、他に建物も衝撃波によって損壊した。
未だに解けない巨大小惑星の謎
地球に落下した小惑星で最も有名なケースに数えられるのが1908年、東シベリア上空5-7キロの地点で爆発した「ツングースカ大爆発」だ。この衝撃でポドカメンナヤ・ツングースカ川付近では2000平方キロメートルを超える範囲で樹木がなぎ倒された。
今まさに落下する小惑星を科学は予言できるか?
現在、地球に接近するすべての天体を追跡する実験室、センターは数多く存在している。NASAの後援する地球近傍天体用センター(Center for Near Earth Objects Studies)はインターネット上でオンライン体制で接近する天体に関する情報を流している。
マスコミ報道でも地球に巨大な小惑星が接近というニュースは割合頻繁に現れているが、だからといっていちいち怖がる必要はない。その大半は地球に接近するということであり、地表と衝突するわけではないからだ。
小惑星の大半は接近が予期できるが、例外もある。たとえばチェリャービンスク州の隕石は、動きの性格が特殊であったためにロシアの地上設備も外国の機器も捉えてはいなかった。ロシア宇宙国営会社の「ロスコスモス」のサイトには「こうした種類の天体の大気圏突入は偶然であり、現在はまだ予測が難しい」と書かれている。
大都市への小惑星の落下の確率はどれくらいなのだろうか。これについてロシアのシュテルンベルク天文研究所、銀河および変光星研究部の上級研究員ウラジーミル・スルディン氏はRBK紙からの取材に次のように語っている。
「小惑星は非常に小さく、遠くからでは全く見えない。ところが地球まで飛んできた時には、その接近を予測しても手遅れだ。小惑星の大きさが小さければ小さいほど、落下確率は高くなる。1メートルほどの大きさのものは1年に1度くらい落下しているが、基本的に世界海洋に突入している。それは世界海洋の面積の方が陸地より遥かに大きいからだ。陸地に落ちたとしても砂漠かタイガで、人口密度の高い都市に落ちるようなことはこの先200年くらいはないだろう。」