世界経済国際関係研究所、日本経済政治セクターを率いるヴィターリー・シュヴィコ氏は日本政府の願望が実現する可能性は少ないと指摘する。「中国はかなり高い確率で、日本が国連において中国と同じ地位に立つことには反対するでしょう。中国と日本は依然として、異なる歴史の認識を有しており、尖閣諸島(中国名、魚釣島)という領土問題はこれをより複雑なものにしています。中国はこの領土問題の解決を、日本の常任理事国入りの条件にしてくる可能性があります」。
一方、米国研究を行う、高等経済学院欧州および国際研究センターの副所長ドミートリー・スースロフ氏も、近い将来、日本の目標が達成されることはないだろうとの見方を示している。「新たな常任理事国の承認は、現在、常任理事国となっている5カ国すべての合意があって初めて可能となるものです。中国がどのような反応を示すかは十分予想できるのはもちろん、他の常任理事国も、構成国の拡大するという考えを歓迎してはいません。なぜなら、常任理事国の数を増やすことは、国連安保理内での自国の権力や影響力を弱めることになり、反対に、国益の相違や衝突は増えるからです。それにより、国連の行為能力がより低くなり、現在すでに米中関係や露米関係といった対立に関してそうであるように、重要な声明が出せなくなってしまうのです」。
しかし、日本にとって、国連安保理の常連理事国入りはなぜそれほど重要なのだろうか?シュヴィコ氏は次のように述べている。
「日本は第二次世界大戦における侵略国として、常任理事国に入ることができなかったわけですが、長年にわたりこの暗い過去を克服したいと思っています。常任理事国として正式に認められれば、戦後の日本としてではなく、現在の世界的地位が確立されるのです」。
日本政府は国連の改革を支持する立場を示していることについて、スースロフ氏はこの国際組織には実際、改革は必要だとの指摘する。
「改革によって、今の現実に即した修正が行われることになるでしょうが、いずれにせよ、新たな常任理事国を迎えることに対する意見の相違がその障壁となるでしょう。現在の常任理事国の権利に少しの変更もなく、拒否権が維持されるべきだというコンセンサスがあるのです」。
国際政治におけるこのコンセンサスは非常に重要なことである(たとえ国連安保理の改革が行われないとしても)。スースロフ氏はその理由について、常任理事国の持つ拒否権は、コントロール不能な武力の行使や大国による一方的な行動を制限することができるからではないかとの見方を明らかにしている。