有名な中国研究者で、ロシア国立研究大学経済高等学院およびモスクワ国際関係大学のセルゲイ・ルジャニン教授は、今回の日中首脳会談は今のところは公式的な性格のものだが、将来的には、阿部首相政権下よりも、激しい対立が起こる可能性があると指摘する。
日経新聞は、習近平主席との会談を前に、自民党の国防議員連盟が、政府に対し、中国との間の主要な係争地である尖閣諸島での日米軍事演習実施を提案したと報じたが、これも注目すべきことである。
一方、政治学者で、国際関係問題および日本研究の専門家であるドミトリー・ストレリツォフ氏は、日中関係の将来により楽観的な見方を示している。「日本は、中国との関係を、米中の対立とは切り離して考えるでしょう。日本政府にとって、日中関係における肯定的なムードというものが重要だからです。日本と中国には、双方にとって非常に重要な経済分野を中心に、多くの共通の利益があります。ですから、経済関係が日中関係の基礎となるでしょう」。
「菅新首相と習近平国家主席の会談は30分に及びましたが、これはトランプ大統領との会談時間よりも長いものでした。公式的には2人の交流は順調なスタートを切ったと言えるでしょう。また会談の内容を見ても、両首脳が強調したことはすべて注目に値します。とりわけ、双方ともに、一貫した両国関係の深化に向けた協力、そして政府高官レベルでの交渉の前進といった路線を維持する用意があることを表明しました。さらに菅首相は、今年末までに東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に関する合意を達成すべく努力しなければならないとも強調しています。これは、日本、中国双方の利益にかなうもので、東アジアの協力を大きく後押しするものです」。
両国首脳が、地域と国際の安定に向けた協力について高官レベルの協議を実施することで合意した後、政府筋は、10月にも中国の王毅外相が日本を訪問し、茂木敏充外相、菅義偉首相と会談することを明らかにしている。