ナゴルノ・カラバフ共和国の偵察部隊によると、アゼルバイジャン兵の遺体はその多くが境界ライン上に放置されており、犠牲者の数は3000人を超えるという。アゼルバイジャン軍側は遺体回収に向けた対策を取っていない。
アルメニア国防省のアルツルン・オワンニシャン報道官によると、2日もアゼルバイジャン軍はナゴルノ・カラバフ共和国への攻撃を行ったが、共和国側はいずれの攻撃も撃退に成功したという。アルメニア側によると、ナゴルノ・カラバフ共和国軍は主に防衛に徹している。前線の状況は緊迫しており、戦闘は主に境界ラインの北部と南部に集中している。
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— kanaev55 (@kanaev551) October 3, 2020
前線での衝突激化を受けて、ナゴルノ・カラバフ共和国のグリゴーリー・マルチロシャン国家大臣(首相に相当)は3日、アゼルバイジャンとの境界ラインから数キロ圏内に暮らす住民に対して疎開を命じたことを明らかにした。首都ステパナケルトでは疎開などの措置は取られていない。
ただし、ステパナケルトはアゼルバイジャン軍による砲撃にさらされており、民間人の間でも多数の犠牲者が出ていることから、住民の間では自発的に隣国のアルメニアに避難する傾向が見られている。
アルメニアのニコル・パシニャン大統領はフランスのエマニュエル・マクロンと電話会談を行い、ナゴルノ・カラバフ共和国との紛争にトルコやシリア、リビアの戦闘員らが傭兵として参戦していることに対して抗議の意思を表明した。こうした傭兵部隊が留まる限り地域の安全保障は回復できないとし、パシニャン大統領は傭兵部隊の速やかな撤退を要求している。
ナゴルノ・カラバフ紛争が激化
アゼルバイジャン国防省は9月27日、アルメニア軍がナゴルノ・カラバフ共和国の境界ラインに広がる集落に発砲したと発表した。
攻撃を受けたアゼルバイジャン軍は報復としてナゴルノ・カラバフ共和国に空爆とミサイル攻撃を行い、武器庫などの軍事施設を破壊。これにより双方に民間人を含む犠牲者が出た。
現在、ナゴルノ・カラバフでは戒厳令が敷かれている。アルメニアも戒厳令と総動員令を発令した。