ナゴルノ・カラバフ共和国ではアルメニアとアゼルバイジャンの合意に基づく停戦が10日正午に発効したものの、停戦初日から戦闘が発生し、当事国は相手国を互いに批判している。
アマトゥニ・センター長によると、ナゴルノ・カラバフ共和国とアゼルバイジャンの境界ラインでは戦闘が続いており、戦死者の遺体回収が困難となっているほか、一般市民の間で犠牲者がさらに発生しているという。そのうえでアマトゥニ・センター長は停戦合意の順守に加え、人道スタッフに対する攻撃を行わないよう、紛争当事国に呼びかけている。
戦闘は10日に続いて11日にも発生した。ナゴルノ・カラバフ共和国のインフォセンターは声明を発表し、アゼルバイジャン軍が停戦合意に背き、装甲車両と砲撃部隊を動員して境界ラインの南部で攻勢を強めているとした。ナゴルノ・カラバフ共和国側はいずれの攻撃も撃退しているという。また、首都ステパナケルトでは爆音が散発的に確認されており、空爆も続いている模様。
一方、アゼルバイジャン側は境界ラインで戦死した兵士らの遺体回収を行おうとしたところ、アルメニア軍による攻撃を受けたとして批判している。アゼルバイジャンのキャムラン・アリエフ検察総長が記者会見で明らかにした。この攻撃でアゼルバイジャン軍の軍医が負傷したという。
ナゴルノ・カラバフ共和国のオンブズマンによると、共和国内では過去2週間の間で25人の市民が死亡したほか、100人以上が負傷した。
アルメニアのゾグラブ・ムナツァカニャン外相は11日から13日の日程でモスクワを訪問し、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相に加え、欧州安全保障協力機構(OSCE)のミンスク・グループ共同議長と会談し、紛争調停に向けた取り組みを協議する。
9月27日にナゴルノ・カラバフの境界ラインで戦闘が始まった。アルメニアとアゼルバイジャンは戦闘開始で互いに非難し合い、ナゴルノ・カラバフでは、首都ステパナケルトを含め、未承認の共和国の平和的な居住地域の砲撃が報じられている。