日本がとくに注意を向けているのが、北朝鮮がすでに発射実験を行なった中距離弾道ミサイルである。これは、低空飛行し、標的に到達する最終段階で、軌道を変えることができるものだ。軍事政治分析局のアレクサンドル・ミハイロフ局長は、日本政府が他でもないミサイルの性能に大きな注意を向けているのは妥当なことだと指摘する。
「現代の中国のミサイル技術が、ソ連とロシアの開発に基づいていることは周知の事実です。ですから、専門家にとっては、21世紀にそれらの技術が簡単に北朝鮮に“流出する”ことは明らかなことです。中国は米国やロシアと違って、中距離、短距離ミサイルに関するいかなる協定も結んでおらず、何ら制限を受けずに、新しい改良型兵器を開発しています」。
北朝鮮の軍事パレードに登場した複数のミサイルの設計は、12,874キロの射程距離を持ち、米国本土を含む、あらゆる場所に到達可能な「火星15」に似たものであった。
アレクサンドル・ミハイロフ氏は、現段階で、13,000キロの飛行距離が記録された実験は一度もないとしながらも、次のように述べている。「ほとんどの実験において、北朝鮮のミサイルは高い射角で発射され、ロフテッド軌道で太平洋または日本海に落下しています。とはいえ、繰り返しになりますが、日本は、北朝鮮のあらゆるミサイル発射が北朝鮮の力だけでなく、中国の軍事技術の表れであるということについて深慮するときがきています。その技術的な進歩は疑いようがなく、米国本土にまで到達可能なミサイルはいつか必ず誕生します。現在、中国は実質上、米国との間で表面化しない戦争状態となっているため、中国はより解放された状態になっています。しかもトランプ米大統領は、自ら中国にその自由を与え、また中距離核戦力全廃条約を破棄することにより、ロシアにも自由を与えています」。
ミハイロフ氏は、日本はこうした状況の人質となっているが、米国に依存することなく、自国の軍事技術面での利益を追求することができるはずだと指摘している。「日本は米国から、より多くの主権を取り戻そうとしています。このことは、日本領内にある米国のミサイル防衛システムの有効性について憂慮していることにも現れています。しかし、米国の軍事基地が配備されていることから、日本が防衛問題で主権を手にする可能性はほとんどないことははっきりしています。日本と米国はともに、戦略的協力関係の信頼性を常に強調しています。しかし、最近行われた米国のポンペオ国務長官の日本訪問も、トランプ大統領が再選されなかった場合、事実上何の具体性も持たないのです」。