仏パリ郊外で教師のサミュエル・パティさんが首を切断され死亡した事件を受け、マクロン大統領と関係閣僚は国防会議に出席し、社会を震撼させた事件への対応を検討した。
BFMTVによると、SNSでは事件後に射殺された容疑者の行為を支持する投稿が多数確認されている。そこで内務省はそうしたSNSユーザーに対する捜査を開始したほか、過激派組織への関与が指摘されている移民231人を国外追放処分とした。国外追放される231人のうち180人は刑務所に収監されているほか、残る51人には逮捕状が請求されているという。
先に仏紙フィガロは、事件の犯人がモスクワで生まれたチェチェン系の男(18)だったと報じた。
報道を受けてチェチェン共和国のカディロフ首長は声明を発表し、「テロ行為を批判し、遺族に哀悼の意を表す」と記した。それと同時にカディロフ首長は「犯罪行為に国籍はない」とし、チェチェン共和国そのものに批判が及ぶことをけん制した。
射殺されたチェチェン系の容疑者はフランスで育っており、事件そのものにチェチェン共和国は関与していないとした。また、あらゆる形態のテロを批判するとしつつ、宗教心を傷つけ、信者の反感を意図的に煽るような行為を控えるよう訴えた。殺害された教師は言論の自由を扱った授業でイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を見せていた。
検察のテロ対策部門によると、容疑者の年齢は18歳で、名前はアブドウラフ・アンゾロフ、モスクワ生まれでチェチェン系。男は2008年、フランスに難民として家族で移住していた。
パリでは9月下旬、風刺週刊紙シャルリー・エブドの元本社前で、パキスタン人の男が2人を刺傷する事件が発生したばかり。男は同紙による預言者ムハンマドの風刺画掲載に対する報復として犯行に及んだと見られている。