グエン・フー・ビン氏は、「スプートニク」からのインタビューに答えたなかで、首相のベトナム訪問は、日本とベトナムの「幅広い戦略的パートナーシップ」を念頭に行われるものであり、同時に「地域の平和と安定を促進するものでもある」と強調した。元大使はまた、今回の訪問では、新型コロナウイルスの感染拡大と地政学的問題が主要な議題となるだろうと指摘し、次のように述べている。「新型コロナウイルスの感染拡大が世界中で続いており、人々の生活を麻痺させ、特に国際的な製造・供給連鎖を分断し、経済の低迷を引き起こしています。日本は世界第3の経済大国ですが、かなりのレベルで、燃料供給と国外の輸出市場に依存しています。一方、米中間の対立をはじめとする、大国同士の対立により、日本とその他多くの国々は、製造能力を、よりスムーズに中国以外の国に移す必要性に迫られています。ベトナムは他の国々との将来的な経済協力の強化、とりわけ大規模なパートナーからの外国投資を誘致するための利点を数多く有しています」。
スプートニク:菅首相が、首相として初めてとなる外国訪問先にベトナムとインドネシアを
選んだのはなぜだと思いますか?
グエン・フー・ビン元大使:「菅首相が初外遊先に、大国ではなく、ベトナムとインドネシアを選んだという事実は、日本が東南アジア諸国連合(アセアン)の加盟国との関係を重要視し、その国々を信頼していることの現れです。インドネシアは国土面積でも、人口でも、東南アジア最大の国であり、G20の加盟国でもあります。ベトナムは順調に経済発展を遂げており、また国際的な統合プロセスにあります。国の権威も高まりつつあり、国際的地位も向上しつつあります。現在、ベトナムは国連安全保障理事会の非常任理事国であり、またアセアンの議長国としての任務を果たしています。アセアンは日本やその他の大国にとっての大きな経済パートナーとなりつつあると同時に、東南アジアの平和と安定、また「自由で開かれたインド太平洋戦略」で重要な役割を担っています」。
筆者:ホアン・ホア