金属ガラス(アモルファス金属)は、結晶材料とは異なり、互いに遠く離れた原子の配列に規則性がない。このため、金属ガラスは、強靱性、耐食性、弾性および他の優れた特性を持ち、それにより、器具製造、機械工学、医学および磁気電気工学において需要があると研究者たちは説明している。
しかし、これらの材質を広く使用する上での障害の1つは、その脆さであるとNUST MISISの専門家は指摘している。研究の著者は、金属ガラスのバルク処理の新しい方法により、この問題は解決されると確信している。この方法は、Zr-Cu-Fe-Al系アモルファス合金でテストされた。
研究者たちによると、得られる材質の特性は、合金の元のアモルファスマトリックスが分解された方法に左右される。サンプルの形状(バルクまたはテープ)により、異なる結果となる。
「バルクサンプルの場合、均質なアモルファス相を2つに分割することにより、室温で最大1.5%の引張延性の向上が得られます。テープサンプルの場合、25%の硬度の増加が得られました。これは、曲げおよび圧縮に対する可塑性を保持しながら、二次アモルファス相の約7nmの大きさのガラス状ナノ粒子の析出によって可能になります。これは思いがけない、非常に重要な結果です」と、NUST MISISの非鉄金属冶金部門の若手スタッフであり、この方法の開発者であるアンドレイ・バズロフ氏は述べている。
NUST MISISの研究者たちは、Zr-Cu-Fe-Al系の合金はコストが高いため、主要な構造材料としては使用できないものの、この技術は他のアモルファス合金、特にチタン系ガラス金属ガラスにも適用できると確信している。
この新しい方法は、金属ガラスに必要とされる特性を付与する工程を簡素化し、使用範囲を広げてくれる。今後、研究チームは、この新技術をチタン系やその他の金属ガラスの品質向上と製造に応用していく。