金融コンサルティング会社「オトクリーチエ・ブローケル(Open-Broker)」グローバル調査担当の上級アナリスト、アンドレイ・コチェトコフ氏は、「現時点では、原油価格は誰が米ホワイトハウスのトップになるかということにはほぼ左右されていない。現在の原油価格が依存しているのは、COVID-19のパンデミックによる制限措置で痛手を蒙る国際的な需要と、採掘制限の合意にこぎつけることができた主要な産油国の政策だ」と語っている。
従来のエネルギーについても再生可能エネルギーについてもトランプ、バイデン両候補の見解は完全に食い違っている。トランプ氏はすべてのエネルギーについて公平な条件を堅持しており、グリーンエネルギーだけに比重をかけるつもりはない。バイデン氏は逆に再生可能エネルギーの発展にこそ米国の未来があるとみている。エネルギー部門に全世界的に見られる環境志向の傾向のために従来型のエネルギーの需要は落ち、その結果、価格も低下する可能性がある。
エネルギー金融研究所エネルギー部門のアレクセイ・グロモフ部長はコロナのパンデミックが原油市場へ及ぼす影響について、次のように語っている。
「今春、OPEC+の産油制限合意が再度結ばれた時、2020年の第4四半期には原油価格は上昇し始めると予測されていた。つまりはパンデミックは夏には終息するだろうと思われていたわけだ。ところが今我々が目にしているのは悲観的なシナリオだ。」
グロモフ氏は、原油価格へ長期的効果を及ぼすのは世界経済がパンデミックの影響から抜け出す状況であって、米大統領選の結果ではないと見ている。デンマークのオンライン投資銀行サクソバンクのオレ・ハンセン戦略部部長も、米大統領選で誰が勝利しようと、原油価格への短期的影響は限定され、注目の中心はパンデミックやワクチン不在に関連した問題になるとの見方を示している。
グロモフ氏は「我々がどんなに望もうと、国際原油需要の回復は緩慢にしか進まない。国際需要の回復が緩慢になるならば、2021年に原油価格が上昇すると考える根拠もない」と帰結を結んでいる。
グロモフ氏は、この先数か月の原油価格は現在の1バレル40ドルから45ドルの水準を維持するとの予測を表している。
関連記事