投資会社「インスタント・インヴェスト」社の金融市場・マクロ経済分析部門を率いるアレクサンドル・チモフェーエフ氏は、地球温暖化対策として、温室効果ガスの排出量を削減するとした国際的な協定は他でもない日本の京都で結ばれたと指摘した。
日本は温暖化防止のための世界的な政策の中心に位置しており、これに向けて長い時間をかけて準備をしてきたことから、日本政府が掲げた目標は十分に達成可能なものだとの見方を示す。
一方、ロシア高等経済学院の国際政治経済学部の助教授候補で、東洋学の専門家であるデニス・シェルバコフ氏は、この問題はそれほど楽観的なものではないとの見方を示す。
「日本は現在、温室効果ガスの排出量で世界5位となっています。しかも日本は電力の87%を火力発電所に依存しています。原子力発電所は、2011年の災害以降、運転が停止し、その後、部分的にしか再稼働していません。2012年に首相だった野田佳彦氏は、福島での事故発生直後、日本は2040年までに原発稼働をゼロにすると発言しました。そこで日本政府は今後10年で新たな火力発電所の稼働開始を予定しています。菅首相は、この2つの事実を考慮に入れ、「グリーン電力」、つまり再生可能エネルギーに期待をかけているのです。しかし、現在、日本で使用されている再生可能エネルギーの割合は11%にすぎず、これを発展させるには大規模な資金投資が必要となってきます」。
「欧州は、有害な生産を行っている自国のほぼすべての企業を中国に移すことによって、同様の計画を部分的に実現しています。つまり、別の場所での環境を悪化させるという方法で、地球環境を改善しているわけです。また先進国のゴミが、処理するためのハイテク工場を持たない最貧国、発展途上国に送られるということが多々あります。つまり廃棄物はそれらの国で、さらに環境を汚染することになります。日本は環境にやさしい廃棄物処理の技術が非常に発展していますが、ゴミの焼却をゼロにすることはできません。つまり、いずれにせよ、温室効果ガスの排出を避けることはできないのです。もっとも近代的な工場で煙突に取り付けられているフィルターもガスを完全に取り除くことはできないからです。ですから、おそらく、日本も近い将来、環境に悪影響を及ぼすような産業を第三国に移転させるという、今の欧州と同じ道を辿ることになるでしょう」。