実験室でブラックホール付近のプラズマ取得に初めて成功

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大阪大学(日本)、国立原子力研究大学「MEPhI」(ロシア)、ボルドー大学(フランス)の国際的研究者グループが初めて、ブラックホール付近のものと同じプラズマを取得しました。結果は雑誌「Physical Review E」に掲載されています。

天体からのX線放射の分析は、天体物理学の最も重要な研究手法の1つです。国立原子力研究大学「MEPhI」の研究者の説明によると、強力なX線放射をする天体の1つは、ブラックホールに落下してゆくプラズマ状態にまで加熱された物質である降着円盤です。

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ブラックホール降着円盤特有のものと同じ特性を持つ少量のプラズマが、MEPhIの専門家を含む国際的研究者チームによって実験室で初めて再現されました。

MEPhIのレーザープラズマ技術研究所のフィリップ・コルネエフ准教授は次のように話します。「天体物理学は、研究現象に影響を与えること、ましてやそれら現象の再現が困難であったため、長い間、観察がメインであると考えられてきました。私たちの実験のユニークな点は、得られたプラズマの指標をスケーリングする必要がなく、それらは、はくちょう座X-1タイプの接触連星のブラックホール周辺の実際のプラズマ指標に一致するのです。」

研究者たちによると、このタイプのX線源の形成で鍵を握る要因は強力な磁場であり、その磁束密度は数千テスラに達します。実験の目的は、MEPhIレーザープラズマ技術研究所とボルドー大学CELIA研究所の研究者たちが共同開発した、プラズマ中でそのような磁場を作り出す方法をテストすることでした。

フィリップ・コルネエフ氏は話します。「この実験の結果、私たちの方法では、記録的な大きさの超高準定常磁場を生成できるだけでなく、現代の実験室天体物理学で求められている高エネルギー密度の物質と電磁エネルギーで、それらの中で発生するプラズマの状態をシミュレートすることも可能なことが分かりました」。

研究者たちによると、この手法のアイデアは、ターゲットの螺旋状の内面に沿った強力なレーザービーム反射効果を基にしているということです。ターゲットとして使用されたのは、直径数百ミクロンの薄いホイルを丸めたものでした。約330ジュールのエネルギー、持続時間1ピコ秒のレーザーパルスが、ターゲット空洞にほぼ完全に吸収され、内部に相対論的なプラズマと、2,000テスラ以上の磁束密度を持つ磁場が生成されました。

「わずか10〜12秒という非常に短い持続時間で、かなり強力なレーザーがターゲットに焦点を合わせられたことにより、パルスパワーは地球の全エネルギーの消費電力の約20倍にもなりました。その結果、数ピコ秒の間、数十億度の温度、1cm3あたり粒子数1018の密度、2000テスラ以上の凍結磁場を備えたプラズマがターゲットボリュームに形成されました。これは、X線源のアクティブ領域のプラズマパラメータに対応しています。」とフィリップ・コルネエフ氏は説明しました。

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結果として得られた、高温の高度に磁化されたプラズマの量は、完全な天体物理学的システムの本質的特性を有するに十分な大きさであった、と研究者たちは述べました。彼らによると、これは実験の形状によって促進されました:プラズマ容量内では、磁場が互いに向けられ、対向する磁力線の接触領域で、磁場の消滅が起こり、これにより光速に近い速度の粒子の流れの出現につながりました。

MEPhIの研究者たちが説明するように、超強力な磁場を作成する新しい手法は、将来、指向性粒子ビーム作成技術の改善、また正確さ向上と強力化も可能にします。このような技術は、実験科学、医学、および危機管理システムで広く使用されています。

MEPhIこの研究は、日本(大阪大学)、フランス(University of Bordeaux)、ドイツ、ロシアの研究者が参加した国際チームが行いました。実験は、大阪大学レーザーエネルギー学研究センターLFEX設備で実施されました。

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