研究者らは、3Dモデル作成にあたって新型コロナウイルスの構造に関する全ての既知のデータを収集。そのデータの中には、走査型電子顕微鏡で撮影された解析度の高いウイルスの表面画像も含まれていた。
3Dモデル作成の作成に参加した博士課程のグァン・グエンさんは、「私たちが作成した3Dモデルは、脂質膜上にランダムに配置されているスパイクタンパク質の姿だけではなく、今日までに明らかにされている新型コロナウイルスの微細構造を完全に再現したものです」と説明している。
このモデルでは、ウイルス表面に突出するスパイクタンパク質やウイルス膜の内部の遺伝物質も描かれている。スパイクタンパク質の役目は、ヒト細胞のACE2受容体と結合すること。これによってウイルスは体内の細胞に侵入することが可能になる。
研究チームのオンドジェイ・シュトルナート氏は、「この3Dモデルは、原子レベルで新型コロナウイルスの最新構造を示しています。ウイルスのカプシド(タンパク質の殻)の中で核酸はロープのような構造を形成していると思われていることから、その構造も盛り込み、今までの3Dモデルで見ることができなかった新型コロナウイルスの詳細をあきらかにしています」と述べている。