首都ストックホルムでは、新型コロナ検査5回のうち1回の割合で陽性の判定が出ているという。同紙によると、この割合は公式的な統計が示す以上にウイルスが蔓延していることを示唆している。スウェーデンの公衆衛生庁は、春に集団免疫を獲得することによって、秋の感染状況は春に隔離措置を導入した隣国フィンランドやノルウェーよりも悪くならないだろうと予測していた。
スウェーデンのウイルス学者のレナ・アインホルン氏は、「今のところ、スウェーデンの戦略は失敗している」と述べている。同氏は数日前、スウェーデンで1人の感染者が生み出す2次感染者数は、フィンランドの8倍、ノルウェーの3.5倍だと指摘した。
アインホルン氏は、「我々が集団免疫を獲得したのならば、他国の方が秋の感染状況は悪くなっているはずです」と述べている。
一方、同庁の専門家であるサラ・ビフォース氏は、春に制限措置を導入し、秋にも同様の措置を採用した国々では現在、感染者数は増加していると指摘した。
ビフォース氏は、「春に感染者数が多かった国々は、今現在の感染者数も多い。なぜこのようなことになっているのか我々にもわからない」と述べている。
スウェーデンの疫学者アンダース・テグネル氏は、新型コロナウイルスに対する免疫獲得は「大いに謎」であると説明している。また、このウイルスには「長期的な将来性」があることから、何ヶ月間、何年間でも有効な戦略を立てる必要があると指摘している。
スウェーデンは「ユニークな」経験 パンデミックとの戦いにおいて
スウェーデンは正式な制限措置を導入していない。その代わり、同国の公衆衛生庁はソーシャルディスタンス(社会的距離)、手洗い、テレワークなどを推奨している。
フィナンシャル・タイムズ紙は、スウェーデンは欧州で唯一、病院以外でのマスク着用を推奨していない国だと指摘している。同国は、密閉空間に人が集まることは避け、同居人以外には会わないように国民に求めてきた。また、レストランでは同じテーブルでの着席は最大8人までと認められている。外出に関しては、絶対に必要な場合を除き、店やショッピングセンター、体育館などには行かないように推奨している。