伊藤さんは看護学生だった20歳の時、交通事故で右腕を失った。
幼少期から始めたものの、バイオリンはそれほど好きな習い事ではなかったという。しかし伊藤さんは「事故に遭って初めて、バイオリンは自分にとって大切なものだと気付きました」と話す。
伊藤さんは事故後は看護師として働く傍らで競泳に打ち込み、北京、ロンドンのパラリンピックにも出場。そして事故から10年余り、両親を喜ばせたいという思いから再びバイオリンを始めようと一念発起した。演奏用に専用の義手を作ってもらったという。
当初は音が全く鳴らず苦労したというが、現在では地域での講演会やイベントなどで披露するほどの腕前に。
「一生懸命弾いている姿をいろんな人に見てほしい。私の姿を見て少しでも頑張ろうと思ってもらえたら嬉しい。」そう語る伊藤さんの演奏を講演会で聴いた男性は「彼女の演奏は私たちの理解を超えるものだった。人間の可能性に本当に驚いた」と感想を述べた。