プレスリリースに記された、研究リーダーのブリジット・ゴンパーツ氏の話によれば、「モデルは気道の上部を再現したものだ。ウイルスがまず入ってくるのはこの場所で、ウイルス、バクテリア、有害物質をキャッチするための粘液を生産し、指の形の突起のついた細胞を持っていて、粘液を上に、そして外に出そうとする。」
喫煙の効果を出すため、気道モデルには毎日3分、4日間にわたって煙草の煙を送り込んだ。
その結果、タバコの煙で侵されたモデルでは感染した細胞の数はタバコを吸わない人の2-3倍多かった。このことから喫煙者に重症化する例が多いのは、いわゆるインターフェロン、つまり免疫システムのたんぱく質 の活動が少なくとも部分的にブロックされてしまうことが原因という帰結に達した。
タバコで肺の防御バリアに穴があく
インターフェロンは初期段階の免疫応答で決定的な役割を演じている。感染した細胞にウイルス攻撃用のたんぱく質をつくるよう命じ、感染していない、健康な細胞には病原体の侵入を警告するのがまさにこのインターフェロンだからだ。ところがタバコの煙はインターフェロンに対する気道の反応を鈍化させてしまう。
ゴンパーツ氏は「気道が城を守る高い防御壁だとしたら、喫煙はその壁に穴をあける行為。タバコを吸うことで元から備わる防御力は落ち、これによってウイルスは体内に侵入してしまう」と説明している。