イランのラバンチ国連大使は国連のアントニオ・グテーレス事務総長と安全保障理事会の議長に宛てた書簡の中で、米国とイスラエルによる過激な行為に警告を発した。
ラバンチ国連大使は声明の中で、「今なお我が国に対して合衆国とイスラエルが進める過激な行為を警告する」と記し、事件に両国が関与したとの見解を示した。大使によると、残り任期が少ないトランプ政権はより過激な対イラン政策を進めているという。そのうえで、「イラン・イスラム共和国には国民と国益を守るためにあらゆる措置を講じる権利がある」と記した。
また、「一部の外国人グループ」が過去10年間の間に多くのイラン人研究者殺害に関与してきた証拠があるとし、こうした「非人道的なテロ行為」を最も厳しい形で批判するよう国連に求めた。今回の事件についてラバンチ国連大使はイスラエルによる犯行を示す「重大な兆候」があると指摘している。いずれの事件もイランの科学的・技術的成長の阻止が目的だという。
イランのジャヴァード・ザリフ外相はこの殺害について、イスラエル当局が関与したことを示す証拠があると指摘している。そのうえでザリフ外相は欧州連合に対し、ダブルスタンダードの政策を放棄し、「国家的テロ行為」を批判するよう呼び掛けている。
ファルハン・ハク国連事務総長副報道官はリアノーボスチ通信の取材に応じた中で、地域の情勢を不安定化させるような措置を講じないよう、イラン政府に対して自制を呼びかけたことを明らかにした。
現地時間で27日午後、テヘラン近郊で核物理学者のモーセン・ファクリザデ氏が殺害された。モーセン・ファクリザデ氏は弾道ミサイル用核弾頭の開発・実験を行う秘密プロジェクト「AMAD」を指導していたと欧米諸国は見ていた。これに対し、イラン政府は同国の核プログラムについて、完全に平和目的であると繰り返し強調していた。