「日本人を悪者にしている」 いじめや差別を取り上げたナイキのCM動画がネットで炎上

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いじめや差別の問題をテーマにしたナイキの新たなCM動画がネット上で大論争を巻き起こしている。公開から数日の間に、動画は900万回以上再生され、ほぼ同数の「好評価」と「悪評価」を(2万〜3万)集めている。この動画は重要性のある正当ものだという人がいる一方で、日本人を嫌悪し侮辱するものだと批判する人がいるのはなぜなのか、「スプートニク」が取材した。

新たな世界観を売り出すCM

21世紀に入り、多くの企業が、自社製品を紹介するだけでなく、その企業の価値観やポリシーを謳った社会的なCMを作ることが多くなってきている。そうしたCMは概して、社会の一部の人々にとって、衝撃的で受け入れがたいものであり、違和感を強く感じさせるものである。こうしたCMの目的は、視聴者に自社製品を買わせるだけでなく、重要な社会問題に対する世間の考えかたを変えようとするものである。まさにこうした手法をとっているのが、1988年に「Just Do It」というCMをリリースしたスポーツ用品メーカーのナイキ。以来、ナイキは、さまざまな問題を提起するCMを製作、発表することで知られるようになった。

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現在、より多くの国際企業が同様の戦略を持つようになっている。たとえば、11月にヘアケアブランドのパンテーンは、就職活動におけるトランスジェンダーへの差別にスポットを当てたCMを発表、また夏には刃物メーカーの貝印が、東京の中心部で、剃毛や脱毛に疑問を呈する、「ムダかどうかは、自分で決める」という広告を出した。しかし、今回のナイキの新しいCMはどうやらこうした社会的な広告とは少し違った方向に向かっているようである。

昨年、ナイキはテニス界のスター、大坂なおみ選手が自身の民族性によって直面した問題を取り上げた。そして今回はもう一つの複雑なテーマである、日本に暮らす若い外国人の経験に目を向けたのである。

新たなCM動画は «動かしつづける。自分を。未来を。 The Future Isn’t Waiting». と題されている。ストーリーに登場するのはサッカーチームに所属する3人の女の子。「実経験」として、いじめを受けたり排斥された少女たちである。

1人は日本人、もう1人は韓国人、そしてもう1人は大坂なおみ選手のように黒人の父親と日本人の母親の間に生まれた混血の女の子である。

あらゆる困難にもかかわらず、3人は自らの目的に向かって歩き続け、スポーツにおける自分の夢を叶えようと努力する。動画では嘲笑や冷たい視線、外見や関心が周囲とは異なる人々がいじめを受けるシーンが映し出されている。


「CMはスニーカーの宣伝ではなく、日本人を侮辱するもの」

YouTubeで公開された動画に寄せられたコメント欄には、好意的なメッセージと並んで、否定的な意見が多数見られる。これは日本人を侮辱するものだという声も複数のユーザーから上がっており、とくに日本企業ではなく、米国企業がこうした差別を非難することから怒りをかっている。また、動画は日本人には馴染みのない価値観を植え付け、グローバリゼーションを押し付けるものだという意見もある。

とはいえ、この動画に反応しているのは日本人だけではない。英語、ロシア語、韓国語で書かれたコメントが分刻みで投稿されている。


「スニーカーを宣伝?いや、我々はグローバリゼーションを売っているのだ!」(英語)
「日本の企業がこの動画を作ったらまだ許容出来るけど、アメリカの企業に日本人は加害者かのように仕立て上げられるのは単純に腹立つ。」
「韓国と日本の対立を煽るだけのCMでした。」
「もちろん差別はダメだだか韓國にも日本人へのいじめはたくさんあるし国家絡みで不買運営なんかしたり「東日本大震災をお祝いします」やら「放射線で汚染された国民」やら差別発言をする人らが上から目線で言えた事じゃ無い。」

また多くの投稿者が、ナイキという会社そのものについて、中国に工場を開設し、ウイグル人を抑圧しているとして、企業方針自体も一義的なものではないと非難している。


「ウイグル人を強制労働させた金で作った差別反対広告。」
「ググったらヤバい話ばかり出てきたのでナイキはもう二度と買わない。大坂ナオミは肌や人種や国籍じゃなくその言動や行動で嫌われているという事を自覚しろむしろ最初は愛されてたぞ。最初だけだったけど。」
「ナイキは我々にとって何がベストか知っている。オフショアの強制労働を称賛し、企業の力を使って超悪玉のように選挙や政治に影響を与えている。」(英語)

とはいえ、ナイキ自体はエシカルな産業への道を歩み始めたばかりで、今回、採用したCMの形態に対しても賛否両論あるかもしれないが、日本に差別問題は存在するのは事実であり、CM動画はそのことに目を向けさせたことで、社会や人々に何らかのメリットを与えるはずである。

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