仕事は減っても、不満は多く
現代人の労働時間は1ヶ月あたり平均180時間とされる。しかし残業や勤務時間外の営業などを合わせるとさらに多い。リクルートの調査では、正社員の1ヶ月あたりの労働時間は男性が平均180時間~200時間、女性が160時間から180時間というデータが公開されている。
株式会社「ビズヒッツ」が、日本全国の532人の働く男女を対象に「ストレスの少ないおすすめの仕事」に関するオンライン世論調査を行い、その結果を発表した。それによれば、職場でのストレスの主な原因は「プレッシャー」と「対人関係」である。
職場でどういうときにストレスを感じるかという問いには、以下のような回答が寄せられた。
- ノルマがある/成果を求められる (136)
- 顧客対応/接客 (118)
これらの理由をよく見ると、2つのグループに分けることができる。1つ目は定められた期間や納期に達成できない厳しいノルマ、責任の重さなど、職務に関することである。これらの理由は自分だけではどうすることもできないものである。
一方、2つ目のグループは、顧客対応、クレーム処理、同僚との競争、そして会社からの圧力的な雰囲気など、対人関係に関わるものである。
「ストレスの少ないおすすめの仕事」
こうした現状を背景に、ストレスがほとんどゼロに近い専門職というのは、際立った存在である。アンケート調査では、ストレスのない仕事として、以下のようなものが挙げられた。
これらの仕事がストレスフリーだとするもっとも一般的な理由は、「1人で淡々と働けてノーストレス」というもの。実際、倉庫や工場での作業には、「ノルマ」、「顧客対応」、「クレーム処理」といったストレスの要因はない。人はスーツを脱いで、作業服に着替えた方がより幸せになれるのだろうか?
「ストレスは生き残るために自分を守るもの」
「スプートニク」は心理学者のポリーナ・ゼレノワ氏に、どうすれば、職場でのストレスを軽減し、キャリアを損ねることなく、健全な精神状態を保つことができるのかについてお話を伺った。
「ストレスというのは、何らかの不調を示す小さなシグナルです。生き残るため、自分自身を取り戻すために、自分を守るものです。つまり、ある意味で、ストレスの前兆は肯定的な役割を果たします。少し休憩して、体を休め、気分転換を図る必要があるということを自分で認識することができるからです。
ストレスがまったくない仕事などというのは幻想に過ぎず、そのような仕事はありません。しかし、ストレスに対する考え方を変え、ストレスに衛生的に向き合うことは可能です。わたしが提案しているもっとも簡単な方法は、“感情の封じ込め”です。自分の気持ちを誰かに話したり、それを紙に書き留めたり、録音したりして、言ってみれば、ストレスを自分の中から取り出して、容器のようなはっきりと形のあるものの中に封じ込めてしまうのです。それ以外の方法としては、呼吸法、マッサージ、ハグ、精神科を受診することなどがあります。
自分の考えや思いを口に出し、周囲に受け入れられ、自分の意見に耳を傾けてもらえるということは、人間の基本的な要求であり、それを表現することは非常に重要であるということを忘れてはなりません。そうすれば、ストレスに対する反応は違ったものになります。何かが起こっても、対処できるという気持ちになれるのです」。