新サービスは、海上輸送、鉄道輸送、トラック輸送の3種類を組み合わせたものだ。まずは富山からロシア極東のウラジオストク港へ海上輸送し、ウラジオストク駅からモスクワ近郊の編成駅まで、シベリア鉄道で運ぶ。そこから欧州向け列車に接続し、ベラルーシとポーランドの国境であるブレスト駅まで輸送する。軌道幅の違いがあるため、ブレストでコンテナを載せ替え、ポーランドのクトノ駅に輸送する。クトノ駅からはトラックで、ポーランド西部のポズナンまで運ぶ。欧州の主要都市へは、ポズナンから更にトラック輸送ができる。
東洋トランスはこれまでも、シベリア鉄道を使った輸送サービスを段階的に拡充させてきた。2019年6月、ロシアへ小口の貨物を運ぶのに便利な混載サービス「モスクワ・エクスプレス」をスタート。その後は極東輸送のニーズに対応するためウラジオストクを仕向け地として追加したり、積み出し港も従来の横浜以外に富山を追加するなど、利便性を高めてきた。
ソ連時代、シベリア鉄道は、日本から欧州への輸送手段として一般的だったが、ソ連崩壊とともに利用が激減した。魅力は安さだけで、到着日が不透明だったり、貨物の保存状態が悪かったり、船から鉄道に積み替えるのに手続きが煩雑だったりと、様々な問題があったためだ。
しかしここ数年、このルートを再構築し、生まれ変わったシベリア鉄道の利用を促進しようという動きが広まり、日露両政府もこれを後押ししている。国土交通省は、2018年度、2019年度と連続して「シベリア鉄道による貨物輸送パイロット事業」を実施。これまでの実証事業では主にコンテナ1本での貨物輸送を行ってきたが、今年11月には初めて、ブロックトレイン(1編成借上げ列車)による、日本―欧州間のパイロット輸送を実施した。実証事業の結果は、今年度中に取りまとめられる予定だ。