統計によればタイはパンデミックまでは観光シーズン中、平均で4000万人を受け入れていた。SRFによれば、これは国の歳入の20%にあたる。
SRFの取材に応じた南西部クラビー県周辺の海域でダイビングのインストラクターを8年務めているというパラニヤ・パンタチットさんは、現在、自分のもとでダイビングを行っているツーリストは通常の数の10分の1だと語っている。それでもパンタチットさんは現況にがっかりばかりもしていないという。ダイバーを連れ出す海域で錨を投げ込む回数も、水中で騒音を出すダイビング用の機械を使用する回数も減り、日焼け止めクリームをべったり塗ったダイバーが泳がなくなったことが幸いして、周辺の海は水中も水面も穏やかな環境となったからだ。サンゴ礁が蘇生しはじめ、沿岸部に魚の大群が現れるようになった。パンタチットさんは海が息を吹き返したのがわかると喜んでいる。
地元の海の保護に40年も取り組んでいるという海洋生物学者のトン・タムロンナワザワットさんも同様の見解を語っている。タムロンナワザワトさんはタイの観光ビジネスは増収にしか目を向けてこなかったが、このパンデミックがすべてをリセットする稀有な機会を与えてくれたと指摘している。タムロンナワザワトさんは、将来、タイの観光産業が今までの過ちを繰り返さないよう、海の生物環境の擁護システムを新たに策定し、海における行動規範を導入せねばならないと語っている。
関連ニュース