今回のロシア選手権では、4回転の記録樹立者アレクサンドラ・トルソワと(16)アンナ・シェルバコワ(16)の間で主な争いが繰り広げられ、そこに今季シニアデビューしたカミラ・ワリエワ(14)が加わった。ショートプログラムを終え、ワリエワと1位の差は1点未満だったため、ワリエワには自身初のロシア選手権で優勝するあらゆるチャンスがあった。しかし、ロシア選手権で2度の優勝経験を持つシェルバコワはワリエワに優勝のチャンスを与えず、3度目の優勝を果たし、ロシア代表チームの女子シングル選手で最強であることを証明した。そしてシェルバコワにとっては肺炎を患ってから初の大会であり、彼女がショートプログラムをほとんど「息も絶え絶え」に滑りきったことを考えると、これは素晴らしい結果だ。
シェルバコワは2本の4回転を組み込んだフリースケーティングをノーミスで演技した。2位のワリエワは、ショートではトリプルアクセルを、フリーでは4回転ジャンプを2本跳んだ。
通信社「スプートニク」は、コーチのアレクサンドル・ジュリン氏に女子シングルのフリーの結果について評価するよう依頼した。
「女子のフリーには感激した。結果は公正だと思う。アンナは現在の(健康)状態を考慮し、本番前の練習滑走をしなかった。そして結果的に彼女がロシア選手権であのようなレベルを披露したのは素晴らしいことだ。アンナは集中し、申し分のない滑りをすることができた。すでにトルソワが4回転を見事に2本決めて素晴らしい演技をしたことを知った上でだ。そしてトルソワの後にはアンナの前にワリエワがさらに見事な4回転を跳んでフリーを終えた。しかしアンナが登場し、さらに素晴らしい演技をした!」
シェルバコワの演技後、「鉄の女」と言われるコーチのエテリ・トゥトベリーゼ氏でさえ、唇をかんで泣くのを我慢しようとしたが、涙をこらえることはできなかった。もう1人のコーチで振付師のダニイル・グレイヘンガウス氏は、絶えず涙をぬぐい、感情を隠そうともせず、その数分後もキス・アンド・クライのソファーで泣き続け、シェルバコワと一緒に採点結果を待った。
シェルバコワは演技後、記者団に「今、私はとても幸せです。すべての関係者の皆さん、ありがとうございました。 そして、欠場せずに戦った自分にもありがとう」と述べ、「誰が何と言っても、とにかく出場して、最後まで戦うと言いました」と語った。
なおシェルバコワは、健康が完全に回復したとは断言せず、大会に出場したことが今後の健康状態に影響を及ぼす可能性があることを間接的に認めた。シェルバコワは、今はアドレナリンが放出されているため、実際の健康状態は翌日にならないとわからないと強調した。
最後に、シェルバコワやコロナウイルスに感染した選手たちの一日も早い回復を祈ると同時に、女子選手たちのロシア選手権での一流の演技に感謝したい。