これまで、日本政府は主権国家が他国の裁判権に服さないという国際法上の「主権免除」の原則から、裁判に参加してこなかった。
しかし、判決は慰安婦問題を「組織的反人道的犯罪」とし、主権免除は適用できないと結論づけた。そのうえで、「原告は精神的、肉体的な苦痛に対し、被告から国際的な謝罪を受けていない」として、日本政府による賠償は妥当だと述べた。
慰安婦問題に関して、日本政府は1965年の日韓請求権協定と2015年の日韓合意で解決済みとの立場をとっている。だが、裁判官は「請求権協定と慰安婦合意で今回の原告の請求権が消滅したとみることはできない」と述べ、損害賠償問題は解決していないと指摘した。
原告である元従軍慰安婦の女性らは、2013年8月、日本政府に損害賠償を求める調停をソウル中央地裁に申請した。日本政府が応じなかったため、2016年1月に提訴。日本政府は訴状を受け取らなかったが、2020年1月、地裁は書類を受け取ったとみなす「公示送達」の手続きを取った。