新たなウイルスはどのようにして生まれるのだろうか?またそれはどのほど危険なもので、また世界における感染拡大状況にどのように影響するのだろうか?「スプートニク」の取材に答えたロモノソフ記念モスクワ大学ウイルス学科のアレクセイ・アグラノフスキー教授がこうした疑問に答えてくれた。
アグラノフスキー教授は、ウイルスの変異というのは、ウイルスが生き延びるための自然なプロセスだと説明する。
このように、偶然、人間の中に現れた新たなウイルスは、より強力な生存能力を持つことになるという。
「増殖能力を持たない、あるいはウイルス自身に害をもたらす変異種というものも存在します。その場合、変異種は効果的に感染することができないため、消滅していきます。今回、英国で見つかった変異種は、南アの変異種と同様、人体の細胞にうまく入り込むことができました。これはスパイクタンパク質の部分で、小さいながらも特に著しい変化が起きていたからです。これが結合親和性を高め、より感染しやすくなるのです」。
アグラノフスキー氏は、従来種も変異種も同様の感染能力を持っているが、変異種がより強い感染力を持つようになり、従来種よりも多くなる可能性はあると指摘する。
「つまり、変異種への感染の方が多くなるのです。英国ではまさにこうした状況が生まれています。従来種は残りますが、変異種に感染する確率の方が高くなる可能性が大きくなります。変異種はより早く感染する力を発揮するからです」。
ワクチンは有効なのか?
ワクチンの効力について、アグラノフスキー教授は、これまでに製造されたすべてのワクチンが、ウイルスに効果的であり、人間を守ってくれるものであることは間違いないと述べている。
「実際、自然界には、ワクチンがまったく効かないウイルス株というものが存在します。たとえば、B型肝炎などがそうです。しかしコロナウイルスに関してはそのようなデータはありません。すでに製造されているワクチンはウイルスの構造を持つスパイクの遺伝子の変異を組み替えることができます。これはもし変異種にワクチンが効かないことが分かった場合に行われます。そして、インフルエンザと同様、人には、少し変化させたワクチンを接種することになります」。