がん細胞に起こる謎の現象 ついにその100年の謎が解明される

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ほとんどのがん細胞で観察され、謎に包まれているワールブルク効果が、研究者らによって解明された。この現象は100年前から明らかにしようと研究が進められていたが、いままでどの仮説も認められていなかった。しかし今回、この謎を解明できる可能性を示す論文が、学術誌「サイエンス」に掲載された。

ワールブルク効果とは、端的に言えば、がん細胞が正常な細胞とは異なる方法でエネルギーを生み出している状態のこと。正常な細胞は、エネルギーを摂取するためブドウ糖(グルコース)を必要としている。これにより、細胞内のミトコンドリアはグルコースを分解しエネルギーを産出する。

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ところががん細胞は、エネルギーをミトコンドリアからではなく、より効率に早く手に入れることのできる解糖系を利用している。この場合、グルコースは解糖系で代謝された後に乳酸に変換される。これはミトコンドリアの欠陥によるものだと思われてきたが、後にがん細胞のミトコンドリアは正常に機能していることが判明した。


ワールブルク効果と酵素の関係性

米国のスローン・ケタリングがんセンターの研究チームは今回、ワールブルク効果と酵素キナーゼ(ホスホイノシタイド-3-キナーゼ)との関連性を発見した。

この酵素は、細胞の成長と分裂を調節する特別な役割を担っている。ワールブルク効果が起こるとこの酵素の活性が上がり、細胞はより早く分裂を開始する。

細胞分裂の加速は、感染症と闘う免疫細胞にもみられる。そのため研究者らは、がん細胞は同じメカニズムを利用していると推測している。したがって、この酵素を「ブロック」することで、悪性腫瘍に対抗できる可能性があるという。

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