記者の近藤大介氏は、スー・チー氏の政治手腕に疑問を抱いていたことから、「いつかこの日(クーデター)が来るのではないか」と案じていたという。
近藤氏は2012年、バンコクで開催されたASEANの国際フォーラムでスー・チー氏と会った経験がある。近藤氏はその際のやりとりから、スー・チー氏に関して、「スー・チー女史は確かに、『ミャンマー民主化の象徴』であり、世界で最も有名なアジアの女性政治家である。だが、スー・チー女史と丸一日一緒に過ごしていて感じたのは、彼女がまるで『1980年代の化石』のような存在だということだった」と分析している。
さらに近藤氏は、20年間以上軟禁されていたスー・チー氏は、激動する世界の変化に対処できていないと指摘している。
その後の2015年、スー・チー氏は国家顧問兼外務大臣に就任し、ミャンマーの最高権力者となった。しかし、その後スー・チー氏は「透明性に欠ける」としていた中国と友好関係を構築する。BBCによると、スー・チー氏は2019年、ロヒンギャ難民問題で出廷した国連の国際司法裁判所で、国軍がロヒンギャを集団虐殺したとする訴えに反論し、国軍を擁護した。
最後に近藤氏は、今回軍が起こしたクーデターを正当化するものではないが、スー・チー氏の政治家としての力不足が、根本的な原因としてあったのではないかと推測している。
NHKによると、在日ミャンマー人は3日、日本の外務省を訪れ、スー・チー氏らの即時解放などを求める要請書を提出した。