永久凍土の地層には数千年もの年月をかけ蓄積された炭素ガスがあるものの、これまではさほどエコロジストらの憂慮を呼ぶものではなかった。それは二酸化炭素が鉄としっかり化合した形で層の中に閉じ込められ、どこにも漏れることがなかったからだった。ところがネイチャーコミュニケーション誌によれば、今回、スウェーデン北部のアビスコの沼地の調査で得られたデータからは永久凍土が融解する際に鉄には有機炭素ガスを止めておく力がないという、危険な傾向が読み取られた。
永久凍土が融解する際、死んだ植物や有機物を分解し、二酸化炭素などの温室効果ガスへと変えてしまう微生物の活動が活発化することは研究者らも前々からわかっていた。ただし今までは、永久凍土が溶けた後も鉄が炭素ガスと化合し、放出は免れると考えられてきた。ところがネイチャーコミュニケーション誌に発表された今回の調査で、炭素ガスをキャッチして離さないという鉄の特質をバクテリアが破壊していることが明らかになった。これによって永久凍土からは人類の活動によって出されるよりもはるかに大量の温室効果ガスが大気圏へと放出されることになる。
国際調査団のこの発見でエコロジストらの前には、気候変動モデルを構築する際に温室効果ガスの新たな発生源を考慮せざるを得ないという新たな課題が立ちはだかった。
今、世界中の科学者らが気候変動の予測モデルに取り組んでいる。先日のスプートニクの記事ではノルウェーの科学者らが出した予測モデルが紹介されている。