弾劾裁判で検察役を務める下院のラスキン議員は2日間にわたって続いた陳述の中で、トランプ前大統領のもたらす脅威について表現に凝ったレトリックを用いて強調した。
親愛なる同僚の皆さん、ドナルド・トランプ氏が再びオーバル・オフィス(大統領執務室:スプートニク編集部)に足を踏み入れることを仮に上院が認める場合、彼が目的遂行のためであっても暴力を呼び掛けないと信じる政治家が果たして1人でもいるでしょうか。そのために別の警官の命を犠牲にするのですか。自分の家族の安全を犠牲にするのですか。我々の民主主義国を犠牲にするのですか。
ラスキン議員による2日間の陳述がようやく終わり、今後は弁護側が16時間に及ぶ陳述を開始する。陳述は同じく2日間にわたって行われる見通し。トランプ氏はすでに大統領職にないものの、弾劾により今後の大統領選に出馬することを阻止するため、民主党議員らは裁判で争う姿勢を示している。弁護側による陳述の終了後、上院議員らによる質問が続き、必要に応じて証人喚問も行われる。弾劾の採決が行われる日程についてはまだ決まっていない。
米議会上院は9日、ドナルド・トランプ元大統領に対する弾劾裁判の合憲性について採決を行い、賛成多数で合憲とした。共和党からは6人が離反して賛成票を投じた。弁護側は弾劾について憲法が定める規定は現職の大統領を対象としたものであるため、トランプ氏に弾劾は適用できないとの見方を示していた。
なお、共和党議員の大半が反対票を投じたことから、トランプ氏の無罪を何としても勝ちとる姿勢を強調した形となった。裁判でトランプ氏を弾劾するには67票の賛成が必要となることから、有罪となる可能性は低いと見られている。
米下院は1月13日、ドナルド・トランプ大統領(当時)の支持者による襲撃で「反乱を扇動」したとして、弾劾措置決議案は賛成232、反対197の賛成多数で可決された。下院は25日に弾劾訴追決議を上院に送付。
退陣後、トランプ氏はホワイトハウスからフロリダ州の別荘へ向かった。