長引く米露関係の悪化を背景に、共同訓練再開のニュースは意外なものに思われる。「スプートニク」は、この予期せぬ米国の「外交作戦」の理由と目的について、軍事専門家のアレクサンドル・ミハイロフ氏にお話を伺った。ロシアとNATO加盟国が参加する共同訓練の再開は、両者の間の政治的対立の様相を変えることになるのだろうか?
訓練の開始を前に、米国がロシアとの間で結ばれている新戦略兵器削減条約(新START)の延長を決めたことが明らかになった。
専門家のアレクサンドル・ミハイロフ氏は、これもバイデン大統領が、米露間の対話を実用的で、互恵的なものするという期待を感じさせる前向きなニュースだと指摘する。
「バイデン大統領は新STARTのような重要な条約を延長したことで、予想外にも、自身の交渉能力を顕示することになりました。(少なくとも、就任直後の現在は)新政権に反ロシア的な前提条件はないとアピールすることとなったのです。今後、バイデン大統領が積極的な反ロシア路線を継続する可能性はあります。しかし、バイデン新大統領の実用的な決定は、なぜか露米関係改善に期待を抱かせます。何れにしても、2021年2月5日に有効期限が切れる新START条約のような重要な問題をめぐっては期待が持てます。米国とロシアの間には、この条約に関して、大きな意見の対立がありました。この条約が延長されたことにより、世界は地球の安全保障と軍拡競争の抑止のために非常に意味のある5年の猶予を手にすることになったのです。そしてパキスタン沖でのロシアとNATOの共同訓練は、正しい方向に向かってさらに1歩踏み出すものです」。
新STARTは現時点で、露米の間で締結された唯一の核兵器制限条約である。アレクサンドル・ミハイロフ氏は、加えて、ロシアと米国は新STARTの延長に留まらず、双方を壊滅させる恐れのある核兵器の削減をさらに積極的に進めていくべきだと指摘している。
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