日本人がロシアのワクチン「スプートニクV」を接種した体験談:打つと決めた理由は?体調変化は?

© Sputnik / Evgeny Biyatov / メディアバンクへ移行Медицинский сотрудник держит в руках вакцину "Спутник-V на территории фудмолла "Депо.Москва"
Медицинский сотрудник держит в руках вакцину Спутник-V на территории фудмолла Депо.Москва - Sputnik 日本, 1920, 17.02.2021
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日本では、医療従事者を対象にワクチンの先行接種が始まったが、ここロシアでは一般市民への大規模な接種が始まってからすでに1か月が経過している。ロシアの国産ワクチン「スプートニクV」は、ロシアに住む外国人も接種することができ、日本人も例外ではない。すでに打った人、検討中の人、絶対に打ちたくない人など、考えは様々だ。ちなみに筆者は個人的には「打ちたい派」だったが、最近コロナにかかり抗体ができたため、現時点では打つ必要がなくなった。そこで、すでに接種したロシア在住日本人の皆さんの体験を聞くとともに、接種の流れや、慎重派の意見も合わせてご紹介する。

外国人でも予約なしで接種可能

ロシアにおけるワクチン接種は、公費で行われるため無料だ。街中の公立病院で受けるのが一般的だが、その場合は強制保険と事前予約が必要だ。予約はネットや電話で簡単にできる。ただ、ロシアに滞在する日本人の大多数は強制保険を持っていないので、この方法は使えない。

いっぽう、赤の広場に位置する「グム百貨店」などの大型ショッピングセンターや「ゲリコンオペラ」といったコンサートホールでは、保険も事前予約もなしで、国籍も関係なく、来た順番に接種を受けることができる。こういった「手ぶらOK」の臨時接種所の数は増え続けており、買い物や食事のついでに気軽にワクチンを接種できる。それ以外には、留学先の教育機関やオフィスでの集団接種を利用するという手もある。

© Sputnik / Alexey Kudenko / メディアバンクへ移行開始直後は行列ができていたが、最近は臨時接種所の増加もあり、ひと段落ついた
日本人がロシアのワクチン「スプートニクV」を接種した体験談:打つと決めた理由は?体調変化は? - Sputnik 日本, 1920, 17.02.2021
開始直後は行列ができていたが、最近は臨時接種所の増加もあり、ひと段落ついた

打つと決めた理由は?接種の流れは?

一般市民への接種が本格的に開始されたのは1月18日。現段階でスプートニクV を一度でも接種した人は、およそ220万人にのぼっている。筆者は、一般接種開始後のわりと早い段階でワクチンを接種した日本人男性に話を聞いた。打つことに不安はなかったのだろうか?

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男性「グム百貨店でのワクチン接種開始時のニュースで、東南アジアから来たと思われる外国人がインタビューで答えているのを見て、外国人も受けられるんだ、と思いました。私が受けた時点では、約20万人がスプートニクVを接種した、と報道されていました。反政府系メディアやSNSを見ても、見逃しているだけの可能性もありますが、重篤な副反応の話は確認できなかったので、おそらく大丈夫だろうと判断しました。」

私立病院で受けることも検討したが、高額な費用の事前診察が必要だったり、最短期間で予約してもかなり待たないといけない、ということがわかり、グム百貨店での接種を決めた。平日の夜でほぼ人はおらず、待ち時間なしで接種できた。

男性「受診前には、既往歴や、現在の病気の有無等を確認する問診票に記入する必要がありました。何も病気がなければ基本的には「いいえ」と回答すればOKですが、ロシア語のみなので、病名等確認のためには辞書を持参することをおすすめします。」

接種を終えると、接種証明書と、接種後の注意事項などを記載した手引きがもらえる。グム百貨店に限っては、嬉しいおまけとして、グム特製のアイスクリームがもらえる。

© Sputnik / Evgeny Biyatov / メディアバンクへ移行スプートニクVの接種証明書を受け取った女性
日本人がロシアのワクチン「スプートニクV」を接種した体験談:打つと決めた理由は?体調変化は? - Sputnik 日本, 1920, 17.02.2021
スプートニクVの接種証明書を受け取った女性

接種後の体調変化:個人差の激しい副反応

男性「接種直後、特に急性の副作用はありませんでした。様子を見るために30分間待機ということだったのですが、アイスを食べたら10分くらいで放免されました。やる気ないですね(笑)。接種翌日は、測っても熱はなかったのですが、微熱のような感覚がありました。出勤時に外を歩くとややだるい感じがして、オフィスでも、だるい感じが継続していました。夕方には、痛いというほどではないですが、接種した箇所に張りが出てきました。夜になると、接種箇所に少し痛みを感じるようになりました。軽い息苦しさというか、胸に違和感もありました。」

この男性の場合は、接種3日目に接種箇所の痛みは弱まり、筋肉痛のような感じに変わった。3週間後には2回目の接種を行った。接種した瞬間の痛みは前回よりも強く、翌日の倦怠感は前回と同様だった。接種箇所周辺の痛みがあったが、接種後4日目にはほとんどなくなったという。

もちろん、接種後の体調変化は個人差がとても大きい。その他の接種済みの人々に聞いてみると「37度少し、熱が出ました。熱自体は大したことなかったのですが、打った箇所がすごく痛くて、痛みが全身に広がっていくようでした」(30代女性)「39度の熱が出て2日間寝込みました。最悪の気分でした」(40代男性)との声が聞かれた。いずれも既往歴のない健康な人たちだ。


ワクチン慎重派の意見

今のところ、ワクチンを接種する予定はないという日本人女性にも話を聞いた。

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女性「私は、今の時点では、ギリギリまで受けたくないと思っています。インフルエンザなど他の予防接種もほとんど受けずに今まで過ごしてきたので、予防は、ワクチンよりも普段の健康管理が大事なのでは、と思っています。また、短期間で開発されたワクチンを信頼していない、という理由もあります。」

この女性は、ワクチンの製造・販売は、莫大な利益につながるものであり、開発スピードを考えると、できてきたものを素直に信用する事は難しい、と付け加えた。その他の慎重派の意見としては「ワクチンよりは、ビタミンDを取るなど他の手段で重症化を予防する方が安心感がある」「接種してから時間が経った後の影響が不安」という人もいた。ロシアではこのほど、ワクチン接種証明書を転売する詐欺が摘発された。これが商売として成り立つということは、どうしても接種を受けたくない人が一定数いるということだろう。


さて冒頭でも書いたが、筆者自身は新年早々コロナにかかった。入院まではしなかったので、一応「軽症」というカテゴリーに入るのだが、その言葉とは裏腹に症状は重く、今も後遺症に苦しまされている。予定していた仕事やプライベートの予定が長期にわたって全てキャンセルになったことも考慮すれば、心身ともに多大なマイナスだった。

その苦い経験と、ワクチン接種によって起こるかもしれない副反応や将来的なリスクとを天秤にかけると、コロナ再感染・重症化という目の前の恐怖の方が強いので、ワクチン接種に軍配が上がる。今ある抗体がなくなる頃には、ワクチンを接種するつもりだ。ただこれは自分がコロナになったからこういう意見を持っているだけで、環境が違えば違う意見だったかもしれない。基本的には、誰もが強制されることなく、打つ打たないを選べるべきだと考える。

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