1年の環境を総括する
中国の武漢で初めてコロナウイルスの感染が確認されたのは2019年の12月31日である。そして1月にはアジア諸国、米国、欧州諸国でも感染者が確認された。同時に、各国はまず中国との航空便の運休を決め、その後は国際線の運航を停止した。これらの措置は世界的な感染拡大のスピードを鈍化させ、緊急時に備えた職員や医療体制の準備を行うことを可能にはしたが、それでもコロナの感染拡大は世界中に広まった。コロナ時代の象徴の一つとなったのが、マスクの着用である。2020年に撮影されたすべての写真にマスクが映っている。個人用の感染予防対策用品は毎日、交換する必要があることから、環境への影響も無視することはできなくなった。2020年の環境の変化について、「スプートニク」は国際環境NGO「グリーンピース」のロシアの専門家、ドミトリー・ネステロフ氏にお話を伺った。
このほか、地球の環境には、各地の事故による影響もあります。たとえば5月29日にノリリスクでは、燃料タンクが破壊し、大量のディーゼル油が河川に流出するという事故があり、北極圏で大規模な環境汚染が引き起こされました。あるいはカムチャツカで起きた環境汚染はいまだに研究者らの間で謎のままとなっています。
総じて、廃棄物処理の問題について言えば、世界の多くの国々で、ゴミ改革が失敗に終わっているという事実があります。たとえば、ロシアでは環境分野の国家プロジェクトの予算も、リサイクル推進と分別収集開始に充てられることになっていた費用も、コロナ対策にまわされています」。
ウイルス感染防止対策は環境への攻撃である
ロックダウンが環境にどのような肯定的な役割を果たすのか、なぜマスクや手袋についてはこれからまだ長期的に考察する必要があるかについて、ネステロフ氏は次のように述べている。
手袋はポリエチレン、ラテックス、ポリ塩化ビニル、ニトリルでできています。理論的に、ラテックスは天然ゴム、ニトリルは合成ゴムで、2~3年は自然界に残り続けます。ポリエチレンとポリ塩化ビニルはマイクロプラスチックとなり、しかもポリ塩化ビニルは燃焼すると有害ガスが生成されます。
すべての手袋に原材料が記されているわけではないことから、手袋を原材料別に分別して、処理することは実質、不可能です。しかももう1つ問題があるのです。手袋が、症状のない感染者の手にはめられていた場合は、自動的にカテゴリーB、つまり感染の可能性があるものに分別されます。ですから、非常事態宣言が解除されておらず、マスクと手袋の着用が義務付けられているすべての場所では、その手袋を別々に回収し、医療用廃棄物に分別する必要があるのです。
最後に、このインタビューを読んでくださり、コロナ禍にありながら環境への損害を最小限に留めたいと考えてくださった皆さんにいくつかお願いがあります。洗って、繰り返し使えるマスクを使ってください。それから手袋をするよりも、よく手を洗うことです。手袋は、正しく外すことができなければ、さらに多くの菌を手につけることになるのです」。
関連記事