米国の研究者らによってアポフィスが初めて観測されたのは、2004年。この小惑星は8年ぶりの2021年3月5日に地球に最接近するが、これは将来地球にアポフィスが衝突する可能性に関する答えを探しだすチャンスとなる。
アポフィスが地球に衝突したらどうなるのか?
ロシアの専門家は2009年、アポフィスが2036年の春に地球に衝突する可能性があると算出した。しかし幸いなことに、この予測が実現する確率は低い。ロシア科学アカデミーの会員でナタン・エイスモント博士(物理数学)によると、2036年に衝突する確率は1000分の1以下。また、NASAの研究者らは100万分の1と見積もっている。
しかし、もしアポフィスが地球と衝突したら、 TNT換算で約1000メガトンの爆発が起きる。例えば、1908年にロシアで起きたツングースカ大爆発の威力が10メガトンだったが、最大規模の水爆実験では50メガトンだった。そしてアポフィスの衝突で引き起こされる爆発では、フランスの面積に匹敵する地域が影響を受けるとみられている。
アポフィスについて今理解できることは何?
現在、NASAの広域赤外線探査衛星「NEOWISE」がアポフィスに向かっている。この衛星の主な任務は、アポフィスの運動パラメーターを算出し、その軌道を明らかにすること。ハワイ大学天文学研究所は2020年10月、アポフィスの軌道が年間で170メートルずつ変化していることに気がついた。この程度の変化だと、2068年のアポフィスの軌道を正確に予測することは不可能であるという。
アポフィスが再び地球に最接近するのは、2029年4月13日。この日、アポフィスは地球表面から約2万9470キロという近距離で通過することになる。その際にはこの小惑星が静止衛星の軌道の内側に入り、肉眼で観察することができるという。
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