ランバースキー氏は、サンディエゴ動物園のサファリパークで1月にゴリラたちが新型コロナウイルスに感染したのを受け、類人猿への迅速なワクチン接種を求めたと語った。感染したゴリラの1頭は心臓障害の合併症を起こしたが、抗体による試験的治療を行い、感染した残りのゴリラと同じように回復に向かっているという。
動物のための製薬会社ゾエティスは2020年2月に香港で犬および猫向けの新型コロナウイルスワクチンの開発を開始し、10月までに同ワクチンの安全性と有効性を確信した。ランバースキー氏は、類人猿への試験的なワクチン接種についてゾエティスに問い合わせた。幸いなことに、9頭に副反応は起きておらず、体長は良好だという。
ゾエティス社の上級副社長(グローバル・バイオロジー担当)のマヘシュ・クマール氏は、同社のワクチンについて、米バイオ医薬品企業ノババックスのヒト用の新型コロナウイルスワクチンと同じように機能すると指摘している。これらのワクチンは、合成したスパイクタンパク質を使ってコロナウイルスに対する抗体の産生を促進する。「カレン」という名前のオランウータンとボノボ1頭から血液が採取されており、まもなく抗体がつくられたかどうかが明らかになるという。よい結果が出た場合、新型コロナウイルスに感染していない動物園の残りの類人猿にもワクチン接種が行われる予定。
ゾエティスは、ミンクでもワクチンの試験を行っている。