「今日が何日かさえ、わからなくなるから」とノート、手帳を挙げた人もいた。
当時小学4年生だった男性は「トランプ」を挙げている。ふだん優しい笑い顔の母親が震災後、今まで見せたことのない不安な顔になった。その時、たまたま見つかったトランプを家族でやっているときだけはみんなが笑顔になった。トランプで「みんなで笑えた」記憶がこの人に焼き付いた。
新聞紙、飴玉、ヘッドライト、帽子、ハンドクリーム、10円玉と挙げられた「助けてくれたもの」たち。
もののリストにはお名前の他に、当時の年齢、どこで被災生活を送ったかが記載された。「本当に自分の体を、心を、支えてくれるものはなにか、一人ひとりが、もしもを想像して、考えておく」と書かれているように、この情報を頼りに読み手が自分に照らしてそのものの必要性を考える。この行為がまさに「備えるとはそこから始まる」ということを、このプロジェクトはおしえてくれている。
「あの日の困難や経験が、今を生きる全ての人たちの糧となりますように。」これがプロジェクト作成者たちの思いだ。
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