厚生労働省は16日、警察庁の統計に基づく2020年の自殺者数(確定値)を発表した。全体の自殺者数は2万1081人で、2019年から912人増えた。増加に転じるのはリーマン・ショック直後の2009年以来となる。
年代別では40代が3568人で最多となり、50代(3425人)、70代(3026人)、60代(2795人)、30代(2610人)、20代(2521人)と続き、50代と60代以外で増加した。特に10、20代の増加が著しく、前年比522人増となった。
性別では男性が11年連続で減少傾向にあるものの、女性は前年比935人増の7026人だった。女性の増加について、厚労省の担当者は「新型コロナウイルス流行という非日常の状況下で、家庭内暴力(DV)などの要因が深刻化した可能性もある」との見方を示している。
また、小中高生の自殺者数は統計のある1980年以降最多の499人に上った。厚労省の自殺対策推進室は「新型コロナウイルス禍で学校が長期休校したことや、外出自粛により家族で過ごす時間が増えた影響で、学業や進路、家族の不和などに悩む人が増加したとみられる」と指摘している。
2月12日、日本政府は新たに孤独・孤立対策室を設置。菅義偉首相は坂本哲志(少子化対策・地方創生)大臣を起用し、新型コロナウイルスの感染拡大で深刻化する孤独・孤立問題を担当するよう指示した。
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