3月初め、EUはナワリヌイ氏逮捕を受け、人権侵害を理由に新グローバル体制の枠内でロシア国籍の4人に対する新たな制裁を発動している。
これより前、ロシア連邦刑執行庁は裁判所に対し、「イヴロシェ社」からの横領容疑に関連し、ナワリヌイ氏の執行猶予を「再三に渡る執行猶予規定の違反」から実刑に変更するよう要請していた。連邦刑執行庁は、裁判所に一般規則矯正収容所での3年半の収容を要請した。ナワリヌイ氏は2014年に3年半の執行猶予判決を受け、また、自宅軟禁と他の規制遵守の義務を課せられた。その後、欧州人権裁判所はこれらを違法と指摘し、ナワリヌイ氏への賠償の支払いを命じた。
ナワリヌイ氏は1月17日夜、治療先のドイツからモスクワのシェレメチェボ国際空港に到着して間もなく当局に拘束された。ナワリヌイ氏はこれまで2度の横領容疑
で執行猶予付きの有罪判決を受けていた。加えて2020年12月末には新たな横領容疑が発覚し、ロシア連邦検察委員会はナワリヌイ氏を再び起訴していた。また、猶予期間中に犯した一連の違反行為によりナワリヌイ氏は2020年12月29日以降から当局の捜査対象となっていた。
ナワリヌイ氏の中毒
ナワリヌイ氏は2020年8月20日、トムスク(ロシア・シベリア西部)から飛行機での移動中に体調を崩し、中南部オムスク市の病院に搬送され、検査の結果、血糖値が急激に変化する代謝性疾患と診断されている。そうなった原因は不明だが、ナワリヌイ氏の血液と尿からは毒物は検出されなかったという。 ナワリヌイ氏はその後、ドイツの病院に移送された。ドイツ政府は軍医の報告を引用し、ナワリヌイ氏には化学戦で用いる「ノビチョク」と同じグループの毒物が使用されたと発表した。ドイツ政府はその後、ドイツの専門家が出した結論をスウェーデンとフランスの研究所が確認し、化学兵器禁止機関がドイツ政府の要請を受けて独自の調査を行っていると明らかにしている。