ロシアが今シーズン、スウェーデンに送り込むのは、審査委員にも観客にもすでにおなじみの「ベテラン」選手、ミハイル・コリヤダー(26)と世界選手権初出場でシニア入りしたばかりのエフゲニー・セメネンコ(17)の二人。
コリヤダーにとって個人的にもう1つ目的がある。それは2018年五輪銀メダリストの宇野昌磨選手と競い、銅を獲得することだ。
ジュニア世界選手権2冠のエレーナ・ラジオノワ氏は手ごわいライバルはいても、コリヤダーは十分3位は狙えると見ている。なぜならコリャダーは今シーズン、アレクセイ・ミーシン・コーチの元で大きな安定感を手に入れることができたからだ。
「コリヤダ―のコンテンツはチェンや羽生よりずっとシンプルです。それでも2つのプログラムをミスなく演技できれば、コリヤダーだってリーダーに混じって表彰台に上るチャンスを十分に持っています。コリヤダーの滑りは素晴らしい。見事に音楽を捉えるし、観客にエモーションを『充電する』力を持っています。今年の彼の新プログラム『ヌレーエフ』は非常に強い印象を与える、それはすごいプログラムで、これをコリヤダーは信じがたいほどエネルギッシュに演じています。ですから転倒さえしなければ、非常に高いスコアをとる、あらゆるチャンスを手にしています。」
「こうしたプログラムは長い間語り草になる類のものです。ですからコリヤダーには是非とも世界選手権で元気の良さ、自分の力を信じるという大事なことを忘れないよう祈念したいです。ストックホルムでやっと彼の才能が完全に開花するところを見たいですね。」
世界選手権初出場のセメネンコに関しては、まず、最強選手の中でとにかく最後まで滑り切るという、非常に重要な経験の場となるだろう。
若手のセメネンコが経験豊富な「エリート選手」らに混じって出ることに驚く人もいるかもしれない。だがラジオノワ氏はセメネンコはこのチャンスにあずかるだけの十分な功績を挙げたとして、次のように語っている。
「エフゲニー(セメネンコ)は今シーズン、安定したスケーティングを見せています。ロシアの選手はいろんなことができるし、リーダーらと互角で4回転だって跳べる。でも困るのは、安定性に欠くことが多いということなんです。」
このことからストックホルムで世界選手権に出るのはコリヤダーにとってもセメネンコにとっても五輪シーズンを目の前に控えた今、「心理的重圧に打ち勝つ」ことを学ぶ良いチャンスとなるのだ。