全ロシア新体操連盟で設立以来、総裁を務めてきたイリーナ・ヴィネル氏は、男子新体操には大きな未来があると確信している。他でもないヴィネル氏の信念に基づき、全ロシア新体操連盟の基本規約の中にも、男子新体操の発展についての項目が盛り込まれた。
ヴィネル氏は、ロシアの男子新体操は当初から、スペインの男子新体操のような軟弱なタイプのものではなく、日本のような男らしいスタイルを貫いていたと強調し、ロシアは10年前に日本から男子新体操のコーチを招き、トレーニングのメソッドをロシアの専門家に伝授してもらったと語った。
ヴィネル氏によれば、日本とロシアのコーチの協力による結果はすぐに現れた。2005年、ロシア人選手、アレクサンドル・ブクロフは東京で開催された男子新体操の世界選手権で金メダルに輝いた。
ブクロフ氏は男子新体操と女子新体操の共通点は、手具を使う種目があるというところのみだと指摘する。それ以外では、男子新体操はどちらかというとサーカスに似ている。女子の新体操ではロープを使ったり、バレエ的な要素が取り入れられているとすれば、男子の新体操はそこにアクロバティックな要素を加えたものとなっている。
ブクロフ氏は、世界的な成功は、すべての手法が完全に習得され、男子新体操の高レベルなコーチが十分な人数、養成されて初めて手にすることが可能となると述べている。さらに、子どもは、できるだけ早い年齢から、新体操のグループで練習させる必要があると指摘する。「わたしたちは5歳以上の男の子を集め、トレーニングしています。基本を教え、その後、団体競技のメンバーを集め、手具を使った演技を始めます。こうして段階的に指導していくのです」とブクロフ氏は話す。ブクロフ氏によれば、ロシアでは、経験のあるコーチが少しずつ出てきたところだという。皆、かつて新体操を経験してきた選手たちで、現在、19歳から20歳の大学生たちだという。
男子新体操について、ロシアの完全チャンピオンの座に輝いたタタルスタン共和国出身のブラート・スグナトゥリン選手(20)は記者団に対し、次のように述べている。「わたしが新体操をしていると言うとだいたい最初に訊かれるのが、リボンを持って踊るのですかという質問です。しかし、演技を見てもらえれば、それが美しくて、難しくて、男らしいスポーツだということを解ってもらえるでしょう。男子新体操にあるのは、女性特有の体の動きではなく、武術のような男性の美学と動きです」。
スグナトゥリン選手は、この種目に対して批判を受けても、憤慨したりしないという。なぜなら、新たなものが作られるときには、必ず困難を伴うものであり、ときに理解されないこともあるからである。
日本の専門家らが作り上げた男子新体操がいかに美しく、いかに男らしいものであるかについては、数年前に「スプートニク」が紹介したこの動画でご覧いただけます。
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