強化プラスチック製の機雷ハンター「えたじま」  どうやって使うのか?戦う相手は?

© 写真 : Twitter account of Japan Ministry of Defense強化プラスチック製の機雷ハンター「えたじま」  どうやって使うのか?戦う相手は?
強化プラスチック製の機雷ハンター「えたじま」  どうやって使うのか?戦う相手は? - Sputnik 日本, 1920, 31.03.2021
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2021年3月、日本の海上自衛隊に新たな掃海艦「えたじま」(MOS-360)が引き渡された。これは海上自衛隊への艦艇引渡しの最終段階にあたり、これを終えると掃海艦は戦闘任務に就く準備が整ったものとみなされる。

敵は機雷

掃海艦が戦う相手はとても危険な敵――機雷である。機雷には構造や作動方式によってさまざまな種類がある。これらは第1次世界大戦や第二次世界大戦で用いられ「角の生えた死」と呼ばれた触発式の機雷よりもずっと複雑なものである。現代の機雷は非接触式で、船の磁場、スクリューやエンジンの音、船の動きで生まれる水圧に反応するものが多い。

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たとえば、アメリカのMk 60 CAPTORやロシアのMTPK-1のような音響機雷は特定のタイプの艦艇の音にだけ反応して作動する。こうした機雷は原子力潜水艦を破壊するために作られた。機雷の水中音響装置には敵の潜水艦の出す音のパターンが記憶されており、音響装置はその音と目標の出す音を比較する。機雷は水上艦や味方の潜水艦には反応せず、厳格に決められた目標だけを攻撃した。機雷は具体的な艦艇の音に合わせて設定することができる。

現代の機雷については知られていないことが多く、レーダーやミサイルよりも分からないことが多い。しかし、目標を認識でき、複数の作動方式を組み合わせたものが多いことは分かっている。

プラスチックの船体

船体の材質(FRP=繊維強化プラスチック)は「あわじ」「ひらど」「えたじま」が属するこの型の掃海艦のミッションに沿って決められたものである。

繊維強化プラスチックは軽量でとても丈夫な材質であり、建材、エンジン部品、自動車部品、航空機部品に幅広く使われている。装甲用のものもある。FRPのプレートはソ連製戦車――T-64からロシアの最新の改良型まで――の装甲に使われていた。

高い曲げ強度と破断強度を持つFRPは爆発の衝撃波、飛散する破片、銃弾、小口径の砲弾に対して強さを発揮する。

この材質は掃海艦にとっては別の利点も持つ。1点目はプラスチックが電流を通さないことで、船が生み出す電磁場を大幅に弱めることができること。磁場の変化に反応する機雷の起爆装置は掃海艦を認識することができない。2点目はプラスチックの船体がスクリューや船内装置の騒音を低減するため、機雷の音響装置に見つからないことである。

言い方を変えれば、機雷を無害化するために機雷により近づくことができる。機雷が爆発した場合には、プラスチックの掃海艦の方が沈没しない確率が高い。

ロボットによる掃海

掃海艦には機雷を見つけるために、水中の係維機雷の位置を特定し、沈底機雷を探し出すためのソナーZQS-4が装備されている。

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しかし、これだけでは十分ではない。見つけた機雷は処理しなくてはならない。そのために使われるのが機雷に近づき、機雷のタイプを識別し、機雷の起爆装置を作動させるか機雷を射撃する水中ロボットである。これまでの日本の掃海艦はイギリス製の水中ロボットPAP 104 Mk 5を搭載していた。新しい掃海艦は日本の三井E&Sが開発したロボットを搭載している。このロボットは無人の無線操作艇から発射される。

日本の掃海用ロボットの特徴は軽量であること(イギリス製が約1トンなのに対し、日本製は50キログラム)、水中での移動速度が速いこと、操縦性が高いことである。また、ロボットには高精度光学カメラが備わっている。カメラは機雷のタイプを識別し、処理方法を選択する上で必須である。

水中ロボットは決して安くはなく、さらに掃海の際には爆破される。そのかわりに数十億円もする艦艇とその乗組員、艦上の装備を破壊から守ってくれるのだ。

戦術的には、掃海艇は独立して行動することができる。例えば、海軍基地の出口の航路を調査するなどである。敵がこうした場所に機雷をしかける可能性は高い。しかも機雷の多くは潜水艦を使って密かに設置することが可能である。また、掃海艦は空母打撃群の艦隊や護衛の一部となり、機雷原かもしれない島の沿岸域での他の艦艇の行動を助けることもできる。

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