この研究結果は、「Biophysical Journal」に掲載されている。
新型コロナウイルスとSARSコロナウイルスは、ヒトの体内にあるACE2受容体を利用して細胞に侵入することが知られている。この侵入の際には、コロナウイルスの「王冠」を構成するスパイクタンパク質の柔軟な突起とACE2受容体の結合が起きている。
米リーハイ大の研究者らは今回、Sタンパク質とACE2受容体における相互作用の強さを定量化する技術を開発した。
そして研究の結果、新型コロナウイルスのSタンパク質とACE2受容体との相互作用は、構造が同一なSARSコロナウイルスのSタンパク質と同受容体の相互作用よりもはるかに強いことが判明した。研究者らによると、新型コロナウイルスのSタンパク質は、ACE2受容体の糖鎖と相互作用しているという。
この研究に参加したZhang氏は、「我々はACE2受容体の糖鎖をすべて取り除き、再び相互作用の強さを測定したところ、新型コロナウイルスのSタンパク質とACE2受容体の相互作用の強さは、SARSコロナウイルスの場合と同じレベルにまで低下した」と述べている。
研究者らは、この研究結果により、新型コロナウイルスとヒトの細胞の結合が強いことが判明し、2002年から2004年にかけて集団感染が発生したSARSコロナウイルスの場合と比べて、新型コロナの感染率が高くなったことを説明できると考えている。
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